高嶺はデスクに後ろ手にもたれるようにして莉央を迎え入れる。
「驚いたな。こういうシチュエーションを、俺はいまだかつて想像したことがなかった」
CEOと聞いていたからスーツ姿なのかと思っていたが、意外にもジャケットに白いシャツ、デニムという小綺麗なカジュアルスタイルである。
身長はかなり高い。鍛えているのか、ジャケットの下の体は厚く、しなやかに引き締まっていた。
なんて強い目なんだろう……。
見られているだけで身ぐるみをはがされるようなそんな気持ちになる。
あれほど強く望んだこの状況なのに、すぐに言葉が出ない。
莉央は震える手を強く握りしめ、顔を上げた。
(莉央。負けないで。勇気を出すの。おじけづかない……今日この日のために、頑張ってきたじゃない。)