それから。

私は長尾くんにこれまでの話をした。
美月ちゃんとの再会から、今日の園田くんとのやりとりまで。
長尾くんは何も言わずにじっと私の話を聞いてくれた。


「……と言うわけ。で、今に至るんだ」


話し終わると、長尾くんはすっと立ち上がって、「ちょっと待ってて」と言って駆けだした。
そしてすぐに戻って来た彼は、私に冷たいレモンティの缶をくれた。


「好み分かんなかったからこれにしたけど、いい?」

「あ。ありがとう」


長い話だったので、正直喉が渇いていた私は有難く頂いた。

同じようにレモンティの缶を持った長尾くんと並んで飲む。
少し甘くて冷たい飲み物は、私の喉を潤して、ほっとさせてくれた。
美月ちゃんのことを信じてくれる人が一人増えた。
それはとても心強い。それが、長尾くんであっても。

ぷは、と息をついたところで、長尾くんが「まずは、ごめん」といった。


「は?」

「昼間は酷い事言ってごめん。福原さん」


そう言って、長尾くんは私に頭を下げた。


「まさかこんな事情があると思わなかったから、キツいこと言った。ごめんね」

「い、いや、いいよ。気にしないで」


素直に頭を下げられると思わなかったので、慌てた。
何だよ、いい人じゃないかとか思ってしまう。
私は心は狭いけど、ころっと考えを改めちゃったりする女だ。