「食事は軽い物からがいいってワタルくんが言ってたから、お粥でも作って来るわね。卵入れる?」
母が窓を開け、換気をする。
少し温かな風がさあっと室内に舞い込んできた。
それと同時に、蝉の大合唱も聞こえる。
「うーん。お粥じゃなくて、卵雑炊にして。海苔いっぱいのったやつ」
「はいはい。まあ、食欲があるなら何よりね」
安心したわ、と母は笑って、部屋を出て行った。
「んー……っ」
布団の中で大きく一回伸びをした私は、ゆっくりと体を起こした。
長く眠っていたせいか、体の節々が少しいうことをきかない。
怪我をしている手足がピリピリと痛んだ。
それからくらりと貧血のような眩暈がして、私は全身を襲う不快感に顔をしかめた。
「あー、くそ。調子悪いな」
「大丈夫? 陽鶴ちゃん」
「あー、大丈夫大丈夫。ちょっとすれば治……え?」
今、あり得ない声がした。
その声がした方を見れば、窓際に美月ちゃんが立っていた。
「え」
美月ちゃん?
母が窓を開け、換気をする。
少し温かな風がさあっと室内に舞い込んできた。
それと同時に、蝉の大合唱も聞こえる。
「うーん。お粥じゃなくて、卵雑炊にして。海苔いっぱいのったやつ」
「はいはい。まあ、食欲があるなら何よりね」
安心したわ、と母は笑って、部屋を出て行った。
「んー……っ」
布団の中で大きく一回伸びをした私は、ゆっくりと体を起こした。
長く眠っていたせいか、体の節々が少しいうことをきかない。
怪我をしている手足がピリピリと痛んだ。
それからくらりと貧血のような眩暈がして、私は全身を襲う不快感に顔をしかめた。
「あー、くそ。調子悪いな」
「大丈夫? 陽鶴ちゃん」
「あー、大丈夫大丈夫。ちょっとすれば治……え?」
今、あり得ない声がした。
その声がした方を見れば、窓際に美月ちゃんが立っていた。
「え」
美月ちゃん?