「仕方ないってなんだよ!」
突然太一が立ち上がって怒鳴った。

顔を真っ赤にして私をにらみつけている。

「純子がどんな気持ちだったのか、考えたことあんのかよ!」

「あります」

すぐにそう言った。

「だったら!」

「それでも仕方なかったんです。千夏がやることには意見はできないし、逃げたら今度は自分が標的になります。自分を殺してでも他人を助けるなんて、私にはできませんから」

「お前……」

燃えるような太一の目。

でも、これが真実。

選んだ友達が悪かったのだろうけど、中学時代勉強ばかりで友達がいなかった私には、はじめてできた友達だったから。


だから、失いたくなかった。