観覧車は常にゆっくり動いているから、早めに乗らないといけない。

紗栄子が乗って、私も後を追った。

動いている機体に乗るのってむずかしい。

私が車内に入って扉を閉めると、同じようにガシャンと音がしてロックがかかった。

内側からも簡易型のカギがついていたのでそれを降ろした。

駿の向かい側に、紗栄子と私が座る。


やばい…。


駿がすぐ目の前にいる。

顔を横に向けて、
「けっこう早いな」
と独り言のように言う。


こんなに近くに駿がいるなんて、それだけで胸がドキドキしてる。