スカイフォールでの出来事を話し終えると、私は大きく息を吐いた。


シートベルトがはずれてぶつかる音。

バーを抑える陽菜。

悲鳴。

左へ体が飛び出る。


___そして、落下。


陽菜が落ちてゆく光景がまだ目に浮かぶ。

藤森さんは目の前でメモを取り終えると、私を見て悲しい顔をした。


「そんなことがあったの…。つらかったわね」

優しい口調に思わず涙腺がうるむ。

首を軽くふって、
「大丈夫です」
と言った。