やがて緩やかになる回転。

少しずつ地上へ降りてゆく。


萌絵の鳴き声は続いている。

七海の声は聞こえない。

「ウソ…。本当に?」

地上が見えてくる。

暗くてあまり見えないが、どんどん地面が近づいているのがわかった。

下まで降りきっても私は動けなかった。

今まさに、足元に陽菜が倒れているような気がして。

最初に動いたのは駿だった。

乱暴にバーを上げる音がしたかと思うと、
「陽菜! 陽菜!」
と大きな声を上げて鉄塔の周りを探し出した。