患者には感情移入しないつもりが、接見の最期ではかわいそうでつい感情が揺さぶられてしまった。

殺された生徒たちのことを思うと、絶対に口にはできない。

「私もまだまだね」

その言葉に、宮崎が、
「僕の方こそですよ」
と、しょげた顔をした。

「どうして?」

見ると、宮崎は下唇をつき出して暗い顔をしている。

「だって、死因を読んでいて気持ち悪くなっちゃったんですよ。うちの先輩があのビデオ見たら、絶対に怒られますよ」

記録用のビデオのことを言っているのだろう。