「佐野萌絵さん」

そう言ってグッとのどからヘンな音をさせた。

「大丈夫?」

藤森さんが尋ねる。

「・・・すみません。思い出してしまって」

気分が悪いのか、青い顔をしている。

だったらもうこんなウソやめればいいのに。


やめないと、殺すよ?

殺す。

殺す。

殺す。


「佐野萌絵さんは、ナイフで何度も刺されての失血死」

ああ、それは夢くんが。

あの夢くんは下沼さん。

下沼さんは、私。