唇をとがらせると、
「不思議な話よねぇ。理屈に合わない」
と、宙を見上げた。

「私も、よくわからないんです。殺したのも私、それを見ていたのも私なんて、現実的じゃないし・・・」

なんと言っていいのかわからない。

まるで本当に自分がふたりいるかのよう。

藤森さんは、軽くうなずくと、
「まぁ、いいわ」
と言った。


その言い方が、どこか突き放している口調に感じた。

「もう、終わりでいいでしょうか?」

そう言いながら、私は立ち上がった。