___コツ コツ 足音に顔を上げる。 すぐ横に、夢くんがナイフを持って立っていた。 片手をあいかわらず口に当てて、首を少しかしげている。 「・・・私も、殺すの?」 咳こみながら言う。 もう、どうでもよかった。 とうてい生きてなんて帰れないんだ。 最初から、そんなこと不可能だったんだ。 しかし夢くんは、すこししゃがむとナイフを私の手首に当てた。 スッと引くと、縛られていた腕が自由になった。