ギシッ 遠くで床を踏む音がした。 続いて、 「先行かないで、ね」 と、いう下沼さんの小さな声。 ふたりが来たのだ。 みんながそのまま黙る。 やがて、木の床を踏み鳴らす音が近づいて来る。 小さな光が揺れながら大きくなってゆく。 「・・・萌絵、先に。え…?」 「・・・ってよ」 「私が? ・・・ムリ」 「・・・から、先に行って」 ふたりのささやくような声が少しずつ近くなる。