「いけない」

私も走り出す。

遅れて、後ろから駿。

怒りに身を任せているのか、雅哉の走りはとんでもなく速い。

必死で後を追うが、なかなか追いつけなかった。

雅哉は入場ゲートに向かっているようだった。

メリーゴーランドや観覧車を通り過ぎる。


「あ!」


思わず叫んだのは、先の方に萌絵が走っているのが見えたから。

萌絵は一瞬振り向くと、恐怖にゆがんだ顔をしてさらに走る。

「待てよ!」

雅哉が怒鳴る声にも振り向かず、全速力で入場ゲートを目指している。

ようやく入り口が見えてくる。