「見たよ」

なんとか言葉を返した。

「俺も見た。女の子がいた。あれが下沼さんか、って聞かれたら言い切る自信はないけど、確かに誰かがいたよな」

「お前らさぁ、いいかげんに」

そう言ってこっちを見た雅哉の顔が変わる。


「萌絵は?」


「え?」

そう言って同じように歩いてきた道を見るが、どこにも萌絵の姿はなかった。


逃げたんだ・・・。


「あんのやろう」

雅哉が驚くほどの機敏さで走って私たちの横を通り過ぎた。

萌絵を追う気だ。