「私・・・帰る」

「え?」

「あとでボコられてもいい。とても耐えられない」

声を震わせて言う下沼さんに、萌絵はあせる。

もし、帰ったと知ったら雅哉たちは激怒するだろう。


そして、その矛先は・・・。


「あ、あのさ。大丈夫だよ、私もいるんだしさ」

「でも・・・」

もう下沼さんは後ずさりをして、今にも駆けてゆきそう。

首を横に何度も振っている。


___あんたが帰ったら、私が怒られるんだってば


萌絵は、下沼さんの腕を強引に持つと、
「いいから、行こ」
と、入り口に向かって歩いた。