七海は私たちがなにも言わないのを確認すると、
「夢くん…」
と片手を伸ばしながら歩き出す。


いくら残像を探しても、もう夢くんは見えない。


「あ…」

その時、私は見た。

七海のそばに誰かがいる。

はじめはぼんやりと見えていた姿が、どんどん濃くなった。

それは私たちと同じ制服を着た少女。

前髪が長くて、その顔は見えない。


萌絵が隣で息を呑む音が。

「また…」

そのつぶやきに、私は思わず萌絵を見た。

萌絵も私を見る。