「事故での退場以外が認められてなかったらどうすんだよ。700万だぞ、700万。悪いけど、全員付き合ってもらう」

目を見開いて七海は雅哉を見ている。

「でも」

また涙声の萌絵。

「ほんとにお金もらえるかなんてわからないじゃん」

「もらえない証拠もないだろうが」

「あの女の子だって誰だかわからないんだよ!」

「んなの、お前が見ただけだろうが。見間違いだよ」

「違うもん! ここぜったいにおかしいよ。帰りたいよ。ねぇ、帰ろうよ!」


パシッ


室内に乾いた音が響いた。

続いて萌絵が床に倒れこむ音。


雅哉が萌絵の頬を叩いたのだ。