「う、うん」

こんなときなのに…。

また胸がドキドキし出す。

「確か、こっちだったと思うんだけどな」

七海は記憶を頼りに歩いてゆく。

イモ虫のように、その後をぞろぞろと進む私たち。


しばらく歩くと、『案内所』と書かれた看板があった。

すぐに小さなプレハブの小屋が現れる。

中からは明かりが漏れていた。

「ここか…」

雅哉が扉の前に立った。

簡素な扉は、雅哉が強くノックするだけでも大きく揺れた。

「誰かいるか!?」