それにしても、こんなめんどくさがり男が、どうしてこんな緻密で丁寧な研究をできるのか?



初めは不思議に思ってたけど、南くんの研究姿勢を日々見ていたら、すぐに納得した。



南くんは毎日休みなく8時に研究室にやってきて、トイレ以外どこにも行かず、黙々と研究に没頭しているのだ。



つまり、好きなこと、興味のあることは全くめんどくさがらないわけ。



熱中しすぎて食事をとることさえ忘れて(もしかしたら、めんどくさがって?)しまうので、あたしは毎日お昼になると南くんに声をかけ、一緒に学食に連れていったりしていた。





そんな南くん。



今日は、卒論の内容をもとにして、記念すべき初の学会発表ってわけ。






「―――よし、南くん!」





「はい?」





「まだ時間あるから、どこかの教室借りて、発表練習しとこう!

あたしがありがたーいご指導をしてあげますからね!」






あたしは勝手に宣言して、南くんを引っ張って適当な空き教室に入った。