「だって、まずいならまずいって言ってもらったほうが、料理の腕が上達するだろ?

俺はお前のために言ってやるんだ。

むしろ、まずいと言われたら感謝しろ」






蓮見はいつも通りの威丈高な態度で、偉そうに言った。






「………はいはい、分かりましたよ」






あたしはせめてもの抵抗として溜め息を吐き出して、キッチンに向かった。






「冷蔵庫、あけるよ」





「おー、ご自由に」






大学生の一人暮らしレベルの小ぢんまりとした冷蔵庫のドアを開けると。






「――――なにこれ!!

ビールしか入ってないじゃん!!」






上から下までぎっしりと、缶ビールの銀色がずらり。



圧巻の光景だ。