「……と、……たの!?」
誰かの声が聞こえる。
遠くから、私の身体を揺すりながら。
もう朝? ママが私を起こすなんて珍しい。
「留美子!! 起きてよ!」
耳が引っ張られるような感覚の後、鼓膜が破れそうなほどの大音量に、私は思わず飛び起きた。
「な、何よいったい!? うるさいっての!」
辺りを見回してみると……そこは学校の大職員室前で、世界がヒビ割れた、あの記憶の断片と同じ場所。
「何じゃないよ! 武司も留美子も急に倒れてさ! 全然起きないんだから!」
そう言って私を心配そうにのぞき込んでいるのは……明日香さん。
「何で明日香さんがここに……そうだ! 龍平は!? 『呪い』は……」
どうも記憶がはっきりしない。
私は美紗の家の地下室で、壷の中に心臓を入れて……もしかして、元の世界に戻ったわけ?
「な、何で“さん”付けなの? 倒れた時に頭でも打った?」
「そうだぜ留美子。お前、何言ってるんだ? 龍平って誰だよ」