「ふたりで行って! 今度は……私が助けるから」
あゆみとすれ違う瞬間、美雪と同じく見せた優しい笑顔。
私達があの場所にたどり着くために、自らを犠牲にした健司と美雪。
ふたりに続いてあゆみまでが、赤い人の足止めをしようとしている。
「キャハハハハハハッ!!」
屋根から飛び降りたのだろう。
上からの笑い声が移動しているのが分かる。
そして、庭を走っている時に、その声は聞こえた。
「留美子! 私達、いつまでも友達だよね!」
その言葉に、私はうなずく事しかできなかった。
家の中に駆け込んで、あの暗い通路を抜けて。
階段を下りた先にある地下室に入り、私達は壷の前に立っていた。
皆が赤い人を止めてくれたから、ここまでたどり着く事ができたんだ。
私ひとりじゃ、学校から出る前に殺されていたに違いない。
「後は……この中に入れるだけだな」
それが美紗の望みで、そのために私達は頑張って来た。
だけど、それをしてしまうと、手をつないでくれている龍平とも、二度と会えなくなってしまうんだ。
暗くて良かった……もしもこの部屋が明るかったら、泣いてぐしゃぐしゃになってる顔を見られてしまうから。
「留美子、どうした? 入れないのか?」