背後に迫る赤い人の恐怖を感じながら、次は西棟の廊下を南下する。


一直線に走るよりも、ジクザクに走った方が時間が稼げるような気がして。


私が一番最初の教室に差しかかった時、背後の壁がドンッ!という音を立てた。


ダメだ、このまま走ってても、すぐに殺されてしまう!


考えるより早く、教室のドアを開けて室内に入り、南側の入り口に向かって走った。


その直後、ドアを突き破って教室に入って来る赤い人。


「ひ、ひいっ!」


激しい音に身をすくませながらも必死に走って。


今度は廊下に出るためにドアに手を伸ばし、それを開けて転がるように教室から出た。


ギリギリ……ギリギリだけど、なんとかうまく時間は稼げてる。


少しでも速度を落とせば捕まってしまいそうだけど、この調子で走れば。


そう考えていたけど……私の考えなんて、赤い人の破壊的な力の前では何の役にも立たない事を、次の瞬間思い知らされた。


廊下に出て、隣の教室に走っている途中。


背後でガラスが砕ける音と……廊下の壁に着地する音が聞こえて。