「あの子か。確かにあの子なら、何でも知ってそうな感じだったな。でも、夢の中の話じゃないのか?」
「そうだよな健司。あの子が現実にいるなら、俺は絶対にモノにしてみせるぜ」
健司と違って、龍平はまたバカな事を……。
「違うよ皆! あの女の子……廊下を歩いてる」
そう言って廊下を指差した美雪。
その指の先には……確かにあの黒髪の少女が、担任の南田先生に連れられて廊下を歩いていたのだ。
「おいおい、南田と一緒って事は……もしかして、このクラスに転入してきたのか?」
この状況では、それ以外の事は考えられなかった。
南田先生があの女の子を連れ、教室に入って来た。
朝のショート・ホームルームの時間にはまだ早いけど、皆は自分の席に着き、黒髪の少女に視線を向ける。
「えー、出席を取る前に、転校生を紹介する。小野山美紗さんだ、皆仲良くするように」
南田先生に紹介され、ペコリと頭を下げるその少女から、私は目が離せなかった。
昨日、学校から帰る時に、あの子は私に「死ぬ」と言った。
その結果が、夢にしろ夢じゃないにしろ、本当に死んだのだから。