そう叫びながらも、部屋の奥に歩を進めた私は、棚に置かれている工具の中から、武器になりそうな物を探した。
時間がない。
武器を持ったとしても、赤い人相手に役に立つかも分からない。
だけど私は棚の工具を漁り、鉄パイプのような物を手に取って握り締めた。
振り返っちゃならないのに……この部屋には移動するスペースがほとんどない。
「あーもうっ! 振り返らなきゃ良いんでしょ!!」
このどうしようもない状況に私は、左側にある棚に背中を付けて、ドアから赤い人が入って来るのを、鉄パイプを構えて待った。
どうしよう、怖いよ!
工業棟の職員室でもそうだったけど、どうして私は追い詰められてしまうのだろう。
ロッカーの中といい、こんな倉庫みたいな部屋といい、逃げる事ができないじゃない!
「キャハハハハッ! ……ハアッ! お姉ちゃん、遊ぼう」
部屋の中に入って来た赤い人が、グリンと首を回して私の方を向く。
その目ににらまれて……まるで空気が刃物のように、するどく私に襲いかかる。