「キャハハハッ! 待てぇ!!」













「誰が待つかっての! いい加減諦めてよ!」


気合いを入れるように叫んだ私は、正面の部屋のドアに手を伸ばした。


後ちょっと……後ちょっとで部屋の中に入れる。


追い詰められるだけかもしれないけど、うまく部屋の中を動き回れば、もしかしたら逃げる事ができるかもしれない。


それを期待して、手をかけたドア。


素早く開けて、室内に入った私は、どうしようもない状況に追い込まれた事に気付いた。


「な、何……ここ!!」


部屋の中を大きく、グルッと回ればもしかしたら逃げられるかもしれないと考えていた。


だけどここは、工具がところ狭しと置かれている小さな準備室。


逃げるどころか……振り返る事すらできない最悪の場所に飛び込んでしまったのだ。










「キャハハハハッ!」









背後には赤い人が迫っていて、引き返す時間なんてもうない。


私は……完全に追い詰められてしまった。


「ど、どうするのどうするの!? どうすれば良いのよ!? こんなところで!」