「なにっ!?」
龍平の声が聞こえると同時に、窓ガラスが割れる音が背後から聞こえて。
赤い人が外から廊下に飛び込んで来たのだという事が分かると、私の背中に悪寒が走った。
追い付かれたら殺される。
それだけしか考えられなくて。
私は必死に廊下を走った。
「アハハ! 見つけたっ!」
後ろの方で聞こえたその声と共に、ペタペタという足音が私を追って来る。
赤い人は龍平に気付かなかったのか、迷う事なく私の方に向かって。
「な、なんで私が廊下に出た時に!」
文句を言いながらも、どこに逃げるべきかを考えて、私が向かったのは階段。
まずは二階に行かないと、逃げようがない。
背中に感じる不気味な空気に追い付かれないようにと、もつれそうになる足を必死に前に出して。
階段に到着した私は、今度は体を上げるために階段を踏み締める。
一段飛ばしで駆け上がり、踊り場も走り抜ける。
どこまで迫っているか分からないけど、赤い人を見てしまったら振り返る事ができないから確認もできやしない。
二階に出たらどこに逃げよう。