アスミック・エース×スターツ出版特別座談会!「怖いけど尊い」青春ホラーBL大賞について
2026年2月
A:スターツ出版文庫×BeLuck文庫×アスミックエース×ちるちる編集部共同企画ということで、「怖いけど尊い」青春ホラーBLをテーマにした新しいコンテストが始まります!
一同:拍手
A:コンテストページの解説のみでは、どんな作品を求めているのかが分かりづらい…と感じている方も多いと思います。具体的なイメージをみんなで話しましょう!
一同:よろしくお願いしますー!!!
A:早速ですが、今回のコンテストで新しい点は、「ボーイズラブ」部門はBeLuck文庫「ボーイズライフ」はスターツ出版文庫、で刊行予定ということですが、その区分けと、重視しているポイントを聞いても良いでしょうか?
B:ひとくちにBLといっても、多種多様な作品があります。明確な恋愛関係あり、2人がしっかり結ばれる様子を描いた作品から、この関係って一体なに!?と読者の妄想によってその関係性に幅がある作品まで。今回でいうと、BeLuck文庫で刊行予定のボーイズラブ部門は前者、スターツ出版文庫で刊行予定のボーイズライフ部門は後者に当たります。2つのレーベルでの共同開催としたのは、今回のコンテストではホラーと掛け合わせであったことが大きな理由です。ホラーとの掛け算がある分、より多様な作品を幅をもって受け入れたいなという想いがありました。

ボーイズラブ部門
B:BeLuckで重視しているのは「かわいい2人」のやりとりや会話です。かわいい2人を軸足にして、ホラーはあくまでもエッセンスに。最近の作品でいうと『お憑かれさま、黒瀬くん』(たこまっちょ/著・from RED)はすごく可愛いホラーBLだなと思いました。
A:私も読みました!まず表紙がめっちゃかわいいですよね。「成仏の条件はキス!?」という帯も、腐女子心を非常にくすぐられます。
B:お化けも怖すぎずに、ちょっと可愛げがあって、本格ミステリーホラーというよりはラブコメホラーのテンション感なのが、読みやすさもあるなと。BeLuck編集部でも話題になっていました。

『お憑かれさま、黒瀬くん』 ©たこまっちょ/シュークリーム
A:なるほど~“読後感はあくまでもBL”ということが大事ですね。
B:そうですね。ホラーとBLの組み合わせ方は何通りもあると思いますが、今回の当部門でいうと、攻め受け2人が協力して、お化けに関する事件を解決!・謎を紐解いていくといった課題解決型の展開よりも、怪異の存在はあくまでも“2人が向き合うきっかけ”であり、2人の信頼・絆・共依存がより際立って見えるようになる。そのような「2人の関係にフォーカスした作り」だと、とても嬉しいです。
A:たしかに、『お憑かれさま、黒瀬くん』の2人は、元々幼なじみで再会⋯という冒頭から始まりますよね。受けは攻めのことを思い出せないけど、攻めは受けのことをずっと覚えていた。その謎と2人の関係の変化も、おばけを通した交流で紐解かれていくのが物語の見どころの一つになっている印象です。
B:まさにそうです。あくまでも見たいのは「攻め受け2人の関係・心情の変化」で、その展開に至るエッセンスとして、例えば除霊目的で2人で少し色っぽいことをする・幽霊に身体を乗っ取られて意図しない行動を相手にとってしまう⋯⋯などは大変ありがたいです。
A:私もその展開は大好物です。ホラーBLと聞くと必然的に少し色っぽい展開を期待してしまうのですが、今回のコンテストではどこまで描写OKでしょうか。
B:基本的にBeLuckで今刊行されている表現までは問題ございません。現状番外編で初夜まで描いておりますのでそちらを基準にしていただけますと幸いです。ただ、そういったシーンばっかりだとレーベルカラーからは少し逸れてしまいます。
A:なるほど。そこは「青春BL」ということですね。
B:そうなります⋯!かわいい2人の青春ホラーBLを、楽しみに待っています!
ボーイズライフ部門
A:ボーイズライフ部門はどうでしょうか。
C:スターツ出版文庫で重視してるのは、「恋愛関係ではない男子二人の特別な関係性」です。恋愛を軸に据えられない分、例えば、「告白して付き合う」などといった恋愛面での一つのゴールや変化点を設けにくいという難しさもありますが、その分、ホラー要素や、物語の展開(2人で何かから逃げる、2人で何かに立ち向かう、もちろんそれ以外でも、あるいは2人でなくとも…)で読者を惹きつける作品を歓迎します。
B:でも逆に、恋愛関係ではないからこそ、より絆の強さが際立って感じられることもありますよね。
C:そうですね。恋愛関係ではないからこそ、互いが互いを必要とする理由、互いがどれだけ絶対的で大切な存在であるか、その出会いによって互いの世界がどれだけ色づくか、 がまた違った形で光る。そういった物語を強く歓迎したいと思っています。
A:恋愛関係でなくても、「2人の関係・心情の変化」という部分はボーイズラブ部門と同じく、ぜひ読みたい部分ですよね。
C:そうですね。その2人が出会うことでの化学反応、登場人物の世界が変わっていくところが読めると嬉しいです。
A:ホラーではないですが、私『ワンルームエンジェル』(はらだ/著・on BLUEコミックス)がすごく好きなんです。突然「天使」との同棲生活が始まり、それによって主人公の日常が徐々に色づいていく。本来交わらなかったはずの誰かと出会うことで起きる“化学反応”にまずワクワクするんですよね。話を聞いていて、近しいところがあるんじゃないかなと思いました。

『ワンルームエンジェル』 はらだ/祥伝社
B:色々な意味で2人を繋ぐ“天使の特性”もとても良いですよね(※詳細はネタバレのため割愛)。この特性があるからこそ、天使は主人公にとってより特別な理解者になっていて……。だからこそ、主人公も天使のために変わろうとする部分、感動します。
C:2人の関係性の変化はもちろんですが、私は物語の展開としても、天使の正体や過去が気になって惹きこまれました「天使」は記憶のない状態で、主人公の前に現れるのですが、その記憶がどんなものか。天使の過去がどんなものか、天使の正体が何であるかという部分もすごく読みごたえがあって、先が気になってぐいぐい読んでしまいました。
B:そこもストーリーのひとつ大きな軸ですよね。
A:私も好きです!そういう2人の関係性の変化に繋がる、別の軸があるからこそBLに馴染みがない人が読んでも面白いと思う作品なんじゃないかなと思いました。
C:しっかり怖い作品も大歓迎です。あえて怖さはマイルド作品も大歓迎です。ホラーと銘打っていますが、ここでは広義のホラーを歓迎します!
A:ボーイズライフ部門は、“明確な恋愛関係”ではないからこそ、2人の関係性も、物語の展開もより幅が出せそうですね。
C:はい。2人が直面する“広義のホラー要素“によって起きる関係性の変化、そんな障害を乗り越えたり、逃げたり、サバイブする中だからこそ醸成し、そして強く結実する2人の絆、人と人の繋がりの尊さを描いた物語を楽しみにしています。ちなみに本部門は必ずしもメインの登場人物が2人でなくとも、大丈夫です!男の子複数人での絆を描いた作品も楽しみにしています。
アスミック・エース賞
A:では、アスミック・エース賞の方はいかがでしょうか?
D:ありがとうございます。アスミック・エース賞は「映像化すると、さらに感動や迫力が跳ねる作品」を選ぶ賞です。ここでいう映像化は、映画だけじゃなくてドラマやアニメなども含めて考えています。どのフォーマットでも共通して大事にしているのは、まず“映像映えする物語構成”がきちんとあるかどうかです。
B:映像映えって、具体的にはどういうことを指すんでしょう?
D:シーンごとにドラマが宿っていて、テンポが心地よく、印象的な場面が物語の節目としてちゃんと立っていることですね。導入で世界に招き入れ、2人が“異なる世界”と遭遇し、試練で距離や役割が揺れ、そこから関係が更新され一旦の解決へ向かう――その感情の波が画面で“見える”かどうか。例えば、夜の体育館で2人が“聞こえない合唱”に耳を澄ます瞬間とか、渡り廊下で影だけが逆方向へ歩いていくカットとか、一枚絵として記憶に残る画が物語の各所に置けると強いです。
C:静けさの“間(ま)”も大事ですよね。暗い音楽室の残響や、プールの水面の揺らぎみたいな。
D:まさに。そういう沈黙が語る場所がある作品は、編集するとリズムが生まれます。加えて、視覚的に際立つ“世界観や舞台設定”があるかも大事ですね。青春BL特有の情感を、季節の光や教室の空気、町の地理で立ち上げられると、怖さと尊さが同居するのではと。
B:閉ざされた町や集落など、共同体に不安が浸透していく感じなどは、画面にしたら凄そうですよね。
D:そうですね。2人の絆の強まりと共同体の脅威が交互に立って、次を見たい欲求が途切れない。物語的にも映画的にも理想的な推進力だなと思います。海外ドラマになりますが『ストレンジャー・シングス』も、仲間たちとの青春があり絆があり、そしてそれぞれの能力、知見、チームワークで物語が解決していくような展開など、シークエンスを積む快感があります。
A:アスミック・エース賞ならではの“コア”って、他にどんな要素を見ているんですか?
D:バディもの、あるいは仲間と協力して何かを成し遂げる物語であることは強い加点になります。2人の相互作用が推進力になっているのかどうか。そして現実と地続きの世界観であることも大事です。完全な異世界や終始海外が舞台というより、“いま・ここ”の日常に“異なるモノ”が侵入する設計の方が、質感もコスト面も現実的で説得力が増します。最後に、作中で一旦の解決があり、鑑賞後の感触が良いこと…欲を言えばその上で、小さな違和感の余韻を残してほしい。例えば、2人の絆で脅威を退けたはずなのに、写真の片隅に第三の影が写っている――そんな“棘”があるものが、観客の心に長く残るものになるのかなと思っています。
C:ラストショットが目に浮かびますね!映画だと最初に提示された課題や関係が変化し、余韻を残して着地するという変化の流れが分かりやすいですが、ドラマやアニメだと作り方はまた変わるのでしょうか。
D:ドラマは第1話の強いフックで掴んで、第2話で2人の役割と距離感、共同体の輪郭を固めていく…という感じになりますね。各話ごとに学校の別の場所や仲間の秘密など、“恐怖の接点”を変化させながら、縦軸では真相や関係の更新を進めるというような。事件の連鎖だけに寄りすぎず、イベント毎に2人の関係が一段、確実に前進していくといいですね。アニメは心象の可視化が武器です。色彩設計やレイアウト、音響で“尊さと怖さ”を同居させられる。影の動きがヘンだったり校舎が歪んでいたり、あと時間の“遅れ”みたいな実写では負担の大きい表現もアニメなら面白く表現できますし、視覚的な怖さもある。
A:なるほど。応募原稿に落とし込む時、何を押さえておくと刺さりやすいでしょう?
D:まず短い時間でフックが伝わる強いログラインがあるといいですね。それに、忘れられないキラーシーンがいくつか。場所・光・仕草・音まで具体的に描いておくと、映像としての想像が一気に広がります。そして結末として一旦の解決と“小さな違和感”の余韻まで設計されていると理想です。
A:逆に注意点や、NGになりやすいポイントはありますか?
D:皆さんすでにおっしゃっていただいてますが、成人向けな性描写に比重が寄りすぎると、“青春”のトーンから外れやすいです。あと、海外舞台だったりVFXが必要そうな設定は現実感やスケジュール・コスト面でハードルが上がってしまいます…。とはいえ、謎解きだけが主で二人の関係の変化が薄いのも感情の核が弱くなるので避けたいです。あとは、“後を引く違和感”は大歓迎ですが、物語としての到達点は必ず用意してほしいですね。
C:参考作品のテイストを取り入れる場合、どんな活かし方がいいんでしょうか?
D:『ストレンジャー・シングス』のように、共同体の不安が2人や仲間の絆を照らす構図は効きます。シーン毎に別のさまざまな恐怖と向き合いながら、縦軸は真相と関係の更新へ進めていく。あと、実際に映画化もされていますが『さんかく窓の外側は夜』的なバディの2人がつながり、同じ視界を共有するような演出も視覚的に映えそうですね。
A:総じて、アスミック・エース賞として“強く推したくなる企画”の共通像を一言で言うと?
D:キャラクターの尊さが画面で立つことです。その尊さが、バディや仲間の協力で推進力になり、現実に根差した舞台が“異なる存在”の侵入で情緒的に揺らぎ、鑑賞後には満足と小さな棘の余韻が残る――この3つが揃うと、「読むと良い」から「撮るともっと良い」へ跳ねます。
B:今日の話、すごく具体的で助かりました。
D:色や光、音の演出などが加わることで“怖いのに尊い”をさらに最大化できる物語をお待ちしています。皆さんの応募作品、楽しみにしています!