プロフィール

三峪 靖史
【会員番号】1376368
自分の頭の中を言語化するのは難しいですね。
でも、伝えたいことがあるからこうやって書くのでしょう。
いつか誰かに届きますようにと、一章づつしたためています。よろしくお願いします。

これに全集中!

転生世界のフィロソフィア

総文字数/36,557

異世界ファンタジー13ページ

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神は初めからいなかった。だから人は、神になろうとしてしまった。 世界樹セフィラートを抱く惑星セフィル。 この世界では、木が生み出すクオリアが大気と水を満たし、生体に干渉し、傷を癒やし、鉱石に宿り、音律ひとつで現実さえ揺らす。 医術も工業も宗教も奇跡も、すべては同じ法則の上にある。 だから祝福は、いつか必ず利用される。 降臨祭の夜。 天から降りた少女ソフィは、助からないはずの命を助けてしまう。 それは奇跡だった。 だが同時に、観測され、記録され、再現を望まれてしまった現象でもあった。 彼女の力は、ただ願いを叶えるものではない。 現実と、「こうあってほしい」と願われた可能性のあいだに触れ、因果の結び目をほどき直すことで、最悪の成立だけを外してしまう。 誰も死なせたくない。 壊れてほしくない。 失いたくない。 その願いは救済になる。 そして同時に、禁忌の入口にもなる。 命を救うためなら越えてはならない線すら踏み越える医師。 人に仕えることでしか自分を保てない怪物。 神の不在を知りながら、なお世界を見捨てられなかった哲学者。 そして奇跡を信仰ではなく、所有可能な技術へ変えようとする実業家。 少女の血は“究極の生体試薬”となり、救命は治験へ、治験は製薬へ、製薬は神を模倣する工業へ変わっていく。 人を救いたかったはずの手が、怪物を生み、新しい神話を組み上げていく。 正しさは、正しいまま暴走する。 救済は、救済の顔をしたまま世界を壊す。 これは奇跡の物語ではない。 奇跡が観測されたあと、それを誰ひとり手放せなかった世界の物語だ。 祝福から始まり、医術へ落ち、工業へ広がり、やがて戦争にまで届く。 それでもなお、人は最悪の結末だけは退けたいと願ってしまう。 『転生世界のフィロソフィア』―― 神なき宇宙で、人間が「許し」を実装しようとした、その代償と執念の神話。

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