それから、どうやって学校に行き、授業を受け、日常生活をこなしていたのか、わからない。
食欲がなく、母に心配されたが、
「ごめん…ちょっと疲れてて。」
と言うのが精一杯だった。
栄養不足で免疫力が低下したせいか、高熱が出て、学校を2日休んだ。
二階堂が見舞いに来てくれて、
「八神、何があったのか話してくれ。
さすがに最近のお前は様子が変だ。
愛でる会のチャットにも全然参加しないし。」
と、心配そうに俺の顔を覗き込んだ。
ずっと俺たちのことを気にかけてくれていた二階堂には、隠さず話すべきだと思い、先輩から別れを告げられたことを打ち明けた。
二階堂は、俺の話を聞き終えると、しみじみとした口調で呟いた。
「…矢野先輩は、八神のことを本当に大切に思ってるんだな。」
「今の八神に、こんなこと言うのもどうかと思うけど、少し羨ましいよ。」
「羨ましい?なんで?」
「矢野先輩が八神と別れることを決断したのは、お前の幸せを最優先に考えた結果だろ。
愛でる会の皆が、最近の矢野先輩のことを心配してる。急激に痩せすぎだって。
わかってる?
先輩もいま、お前と同じように毎日やっとの思いで生きてるんだよ。」
二階堂にそう言われ、ポロポロと涙が溢れて止まらなくなった。
今まで、心にぽっかりと穴があいた感覚だけに支配され、感情を失っていたことに気付かされた。
「でも、先輩はたくさんの人に夢を見せるのが仕事だから。
俺の幸せは俺が決めるとしても、ファンの人達の幸せは先輩が守らなくちゃ…。」
二階堂にぶつけても仕方がないと分かってはいたが、止まらなくなって、心の中に溜まっていた思いを吐き出した。
「ユウマさんの件で、世間には、姉貴みたいにアイドルの恋愛に反対する人が大勢いるってことを知った。
その時に、自分たちの恋愛がどれだけ身勝手なものなのか、思い知らされたよ。」
自分の言葉を聞きながら、俺は唇を噛んだ。
「なのに、そのことから目を逸らして、俺と矢野先輩は例外だと思い込もうとしてたんだ。
そういう自分のズルさとか、弱さを認めて、ちゃんと現実と向き合わなくちゃならないって…」
バンッ!
急にドアが開いて、姉が入ってきた。
「あんたは、大きな勘違いをしている!」
「他の人はどうか知らないけど、私は、アイドルの恋愛に反対してるんじゃなくて、バレるような脇の甘さが許せないだけ。
隠し通せる覚悟があって、実際にファンに夢を見せ続けることができるなら、それはそれでよし!と思ってる。」
なぜか、姉の目にも涙が滲んでいた。
二階堂が、冷静に
「僕も、お姉さんと同じ考えです。
幸い、八神と先輩は一緒にいても友人にしか見えないので、バレる可能性はかなり低いですし。」
と同意した。
そんな二階堂の言葉に頷きながら、姉は続けた。
「だから、矢野くんとあんたのことは、
えっと、君、…誰だっけ?」
「二階堂です。」
「二階堂くんと私がサポートするから、別れる必要はない!
矛盾してるように思われるかもしれないけど、それで矢野くんが最高のアイドルとして輝けるなら、オタクのプライドにかけて、私は二人を守る。」
姉に、勝手にサポーターにされた二階堂が、
「そうですね。身内に理解者がいるのは心強いだろうし、僕も何かの時に手助けくらいはできるかと。」
と、大人な対応をした。
二人が、俺のことを守ろうとしてくれる、その気持ちが温かくて、また泣いてしまった。
涙を出し切ったら、鬱々としていた気分がスッキリして、食欲も戻ってきた。
二階堂がお見舞いに持ってきてくれた缶おしるこを飲んだら、いつもより甘く感じた。
お見舞いに缶おしるこって(笑)
しかも10本も。
とりあえず、姉に、
「今度から、部屋に入る時は必ずノックして。」
とお願いした。
食欲がなく、母に心配されたが、
「ごめん…ちょっと疲れてて。」
と言うのが精一杯だった。
栄養不足で免疫力が低下したせいか、高熱が出て、学校を2日休んだ。
二階堂が見舞いに来てくれて、
「八神、何があったのか話してくれ。
さすがに最近のお前は様子が変だ。
愛でる会のチャットにも全然参加しないし。」
と、心配そうに俺の顔を覗き込んだ。
ずっと俺たちのことを気にかけてくれていた二階堂には、隠さず話すべきだと思い、先輩から別れを告げられたことを打ち明けた。
二階堂は、俺の話を聞き終えると、しみじみとした口調で呟いた。
「…矢野先輩は、八神のことを本当に大切に思ってるんだな。」
「今の八神に、こんなこと言うのもどうかと思うけど、少し羨ましいよ。」
「羨ましい?なんで?」
「矢野先輩が八神と別れることを決断したのは、お前の幸せを最優先に考えた結果だろ。
愛でる会の皆が、最近の矢野先輩のことを心配してる。急激に痩せすぎだって。
わかってる?
先輩もいま、お前と同じように毎日やっとの思いで生きてるんだよ。」
二階堂にそう言われ、ポロポロと涙が溢れて止まらなくなった。
今まで、心にぽっかりと穴があいた感覚だけに支配され、感情を失っていたことに気付かされた。
「でも、先輩はたくさんの人に夢を見せるのが仕事だから。
俺の幸せは俺が決めるとしても、ファンの人達の幸せは先輩が守らなくちゃ…。」
二階堂にぶつけても仕方がないと分かってはいたが、止まらなくなって、心の中に溜まっていた思いを吐き出した。
「ユウマさんの件で、世間には、姉貴みたいにアイドルの恋愛に反対する人が大勢いるってことを知った。
その時に、自分たちの恋愛がどれだけ身勝手なものなのか、思い知らされたよ。」
自分の言葉を聞きながら、俺は唇を噛んだ。
「なのに、そのことから目を逸らして、俺と矢野先輩は例外だと思い込もうとしてたんだ。
そういう自分のズルさとか、弱さを認めて、ちゃんと現実と向き合わなくちゃならないって…」
バンッ!
急にドアが開いて、姉が入ってきた。
「あんたは、大きな勘違いをしている!」
「他の人はどうか知らないけど、私は、アイドルの恋愛に反対してるんじゃなくて、バレるような脇の甘さが許せないだけ。
隠し通せる覚悟があって、実際にファンに夢を見せ続けることができるなら、それはそれでよし!と思ってる。」
なぜか、姉の目にも涙が滲んでいた。
二階堂が、冷静に
「僕も、お姉さんと同じ考えです。
幸い、八神と先輩は一緒にいても友人にしか見えないので、バレる可能性はかなり低いですし。」
と同意した。
そんな二階堂の言葉に頷きながら、姉は続けた。
「だから、矢野くんとあんたのことは、
えっと、君、…誰だっけ?」
「二階堂です。」
「二階堂くんと私がサポートするから、別れる必要はない!
矛盾してるように思われるかもしれないけど、それで矢野くんが最高のアイドルとして輝けるなら、オタクのプライドにかけて、私は二人を守る。」
姉に、勝手にサポーターにされた二階堂が、
「そうですね。身内に理解者がいるのは心強いだろうし、僕も何かの時に手助けくらいはできるかと。」
と、大人な対応をした。
二人が、俺のことを守ろうとしてくれる、その気持ちが温かくて、また泣いてしまった。
涙を出し切ったら、鬱々としていた気分がスッキリして、食欲も戻ってきた。
二階堂がお見舞いに持ってきてくれた缶おしるこを飲んだら、いつもより甘く感じた。
お見舞いに缶おしるこって(笑)
しかも10本も。
とりあえず、姉に、
「今度から、部屋に入る時は必ずノックして。」
とお願いした。

