その他
完

- 作品番号
- 1790115
- 最終更新
- 2026/08/23
- 総文字数
- 14,893
- ページ数
- 1ページ
- ステータス
- 完結
- いいね数
- 5
奨学金を借りれば夢に近づける。でも、それは卒業後に返していかなければならない借金でもある。生活費のためにアルバイトをすれば、今度は学ぶ時間がなくなる。
「奨学金は借金だから借りるな」
そんな言葉がSNSにあふれる中、彩は迷いながらも、自分の未来について徹底的に調べ始めます。
そして、進路指導の先生から渡された資料の中に、一つの思いがけない選択肢を見つけます。
授業料無料。学生寮完備。給与支給。
――気象大学校。
それは、夢から逃げるための道なのか。
それとも、夢を自分の力で未来につなげるための、新しい道なのか。
アメリカで研究者として生きる叔母から、研究者という仕事の厳しい現実も聞かされ、彩は初めて「夢の先にある人生」まで考えるようになります。
そして最後に彩が選んだのは、誰かに決めてもらった正解ではありませんでした。
夢、家族、お金、学ぶこと、そして自立。
そのすべてを見つめたうえで、自分自身で選び取った道。
17歳の彩が見つけた「正解」は、ひとつの職業ではありません。
学ぶことをあきらめず、自分の力で未来を切り開くこと。
これは、進路に迷うすべての17歳へ贈る物語です。
- あらすじ
- 父との約束である夢を持ちながらも、経済的な現実に直面した17歳の少女が、自分にとっての「正解」を模索する物語です。進学か就職かという二択ではなく、「学びながら自立する」という第三の道を通じて、自分の未来を切り開く姿を描きました
この作品のレビュー
「奨学金は借金だから借りるべきではない」という言葉を出発点に、進学と将来について考える高校生・彩の成長を描いた作品です。父と約束した天文学者への夢を胸に、母子家庭という現実や研究者への道の厳しさを知り、彩が自分の未来を真剣に考えていく姿が印象的でした。
特に「学びながら、自立する」という言葉との出会いから、気象大学校を自らの進路として選ぶ展開が心に残ります。天文学者になる夢を諦めるのではなく、「空が好き」という父から受け継いだ思いを気象学と防災へつないでいくところに、前向きな力を感じました。
最後に父との思い出であるオリオン座が再び登場する構成も美しく、夢の形は変わっても、学び続ける心は受け継がれていくことを温かく伝える作品でした。
この作品の感想ノート
読んでいて一番心に残ったのは、彩が「夢を諦めた」のではなく、「夢を自分の人生として考え直した」というところです。最初は父との約束である天文学者を目指していた彩が、奨学金、生活費、大学院、博士課程、ポスドク、任期付き研究職という現実を知り、それでも「学ぶことを諦めない」道を探していく姿に、応援したい気持ちになりました。
特に「学びながら、自立する」という言葉がとても印象的でした。気象大学校を知ったことで、彩は「お金がないから夢を諦める」という二者択一から抜け出します。そして、気象を学び、防災を通して人の命を守るという新しい目標を自分自身で見つけます。その選択が、単なる経済的な妥協ではなく、彩自身の「空が好き」という気持ちにつながっているところが好きです。
また、父と見上げたオリオン座が物語の最初と最後をつないでいるのも素敵でした。天文学者になるという約束はそのままの形では実現しなくても、父から受け取った「学ぶこと」「好きなことを追うこと」「自分の力で未来を切り開くこと」は、彩の中に確かに残っています。
進学か就職か、奨学金を借りるか借りないかという単純な問題ではなく、「自分は何を学び、どんな人生を歩みたいのか」を考えることの大切さを感じさせてくれる作品でした。彩がこれから気象大学校でどんな経験をし、どんな大人になっていくのか、その先も読んでみたくなりました。
心のこもったご感想をありがとうございます。
彩が「夢を諦めた」のではなく、「夢を自分の人生として考え直した」と受け取っていただけたことが、とても嬉しいです。まさにこの作品で描きたかった部分でした。
「学びながら、自立する」という言葉にも注目していただき、ありがとうございます。経済的な理由から夢を諦めるのではなく、現実を知ったうえで、自分にできる別の道を探していく彩の姿を感じ取っていただけたことに、書き手として大きな喜びを感じています。
また、父との思い出であるオリオン座にも触れてくださり、ありがとうございました。夢の形は変わっても、父から受け取った「学ぶこと」「好きなことを追うこと」「自分の力で未来を切り開くこと」は、彩の中でこれからも生き続けていく――そんな思いを込めました。
彩のその後まで読んでみたいと言っていただけたことも、本当に嬉しいです。素敵なご感想をありがとうございました。
お父さんを亡くし、経済的な自立をも必要としたとき、子供時代からの夢がくずれることは往々にしてありえると思います。
でも主人公は、夢を人生に落とし込むことができて、納得できる学びの道と自分の人生の歩み方を見いだせたのですね。素晴らしいことだと思います。
また主人公は、高校の進路指導の先生やおばさんのアドバイスにも恵まれて、その点でも幸運な人だとも言えます。
進学やそもそも大学で学ぶのはなんのためなのかを考える、突き詰めれば、人間が社会で生きていくとはどういうことなのか、を考えることができた主人公は大変幸せな人と言えるかもしれません。そのことといつも自分の生き方を見つめようと思えたお話でした。
気象大学から先の人生でも主人公は、いろいろな選択を求められるでしょうが、きっと乗り越えていくのでしょう。そんな続きも読んでみたいです。
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