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「うーん、まだお腹が大きくないね」
「これから、段々とお腹が大きくなるのよ」
「そーなんだ」

 今日は安息日なので、朝からルートちゃんとフリージアお祖母様が屋敷に来てクリスの様子を見に来た。
 ルートちゃんは、まだ目立たないクリスのお腹に耳を当てていた。
 数ヶ月もすれば、お腹も大分目立つようになるはずだ。

「それにしても、ケン君に弟子が出来たのね。魔法使いは数が少ないから、しっかりと教えるのよ」

 フリージアお祖母様の視線の先には、朝の訓練が終わって休んでいるノヴァ君とララちゃんの姿があった。
 二人とも魔法障壁と魔力弾の訓練に入っており、良い感じに順調に進んでいた。
 この前ルーカス様に二人の進捗を報告したら、あと半年もしたら軍の訓練にも参加できるだろうと言っていた。
 軍としても、優秀な魔法使いを確保したい思惑があるのだろう。
 とはいえ、二人が軍人になるかは現時点では不明だ。

「私の体調も良くなってきました。ご心配をおかけしました」
「いいのよ。初めての出産というのは、誰だって不安なものなのよ」

 フリージアお祖母様は、お礼を言うクリスにニコリとしていた。
 仕事のペースはまだ制限しているけど、クリスは動くのが好きだからじっとしているよりもずっといいそうだ。
 今朝も、ノヴァ君とララちゃんの魔法の訓練に立ち会っていたっけ。
 クリスの側で見守っていたトラちゃんの方がハラハラしていた。

「ねーねーケンお兄ちゃん、いつになったら赤ちゃんに会えるの?」
「うーんとね、夏の終わり頃の予定だよ」
「僕ね、赤ちゃんをいっぱい可愛がるんだ!」

 ルートちゃんは、早く赤ちゃんに会いたくて仕方ないみたいだ。
 まだ赤ちゃんの妹をとても可愛がっているし、とても優しいお兄ちゃんになった。

 ガチャ。

「「「「「「来たよー!」」」」」
「ウォン!」

 ここで、元気の良い声が応接室に入ってきた。
 アリアちゃん達が、メアリーさんとシーリアさんと共に屋敷にやってきた。
 ユキちゃんも、元気よく挨拶をしていた。
 そして、みんながクリスのお腹に耳を当てていた。
 うーん、子ども達がやる事はみんな一緒なんだ。

「ほらほら、もう少ししないと分からないって言ったでしょうが」
「「「「「「えー?」」」」」」

 苦笑しているシーリアさんに、アリアちゃん達は不満そうにしていた。
 メアリーさんも、しょうがないねといった表情だ。

「朝から、赤ちゃんを見に行くと言って仕方なかったのよ。赤ちゃんはまだなのよって言っても、本人達はきかなかったのよ」

 メアリーさんが事の顛末を教えてくれたが、子ども達に細かい事をいっても分からないだろう。
 そして、みんなでお茶会でのんびりとしていた。

「そうなの、毎日訓練を頑張っているのね。とても凄いわね」
「「「「「すごーい!」」」」」」
「「あ、ありがとうございます……」」

 王太子妃であるメアリーさんに褒められて、ノヴァ君とララちゃんはとても恐縮していた。
 シーリアさんは大体のことを知っているが、それでもノヴァ君とララちゃんの成長に目を細めていた。

「魔法使いの中には、強い力を得て増長するものもいるわ。二人とも、ケン君から正しい魔法使いについてしっかりと教わるのよ」
「「はい!」」

 軍人であるシーリアさんは、注意する事も忘れなかった。
 過去にも、俺は凄いんだと威張る魔法使いがいたっけ。
 勿論、魔法使いとして大切な事もノヴァ君とララちゃんにはしっかりと教えていた。
 アイちゃん達にも、魔法使いとしての教育はしっかりとしている。

 コンコン、ガチャ。

「失礼します。ケーラ様がお見えになりました」
「失礼するわね。あら、皆さまもお揃いですか」

 更に、クリスの母親のケーラさんまでやってきた。
 予想以上に賑やかになってきたぞ。
 アイちゃん達とアリアちゃん達は、ノヴァ君とララちゃんと仲良く話をしていて、ルートちゃんも元気よく話していた。
 ユキちゃんはトラちゃんやピーちゃん達と話をしているし、何というかそれぞれが自由に話をしていた。

「ケン君は、忙しいのにクリスの面倒をみていて本当に偉いわ。うちの旦那は、子育てに無弾着だったのよ」
「「「「分かるー」」」」

 そして、お母様方はいつの間にか愚痴の言い合いになってしまった。
 うん、下手に突っ込むのはやめておこう。
 巻き込まれて大変な事になる。
 僕とクリスは、小さい子達の相手をしていよう。
 その小さい子達も何かを感じ取ったのか、段々と母親から離れていった。
 こうして、ノヴァ君とララちゃんの迎えが来るまで、意外と大変なお茶会となっていた。
 しかも、クリスの様子を見に来るという大義名分で僕の屋敷に来れるので、これからもご婦人たちのお茶会が開かれる事となった。
 僕もクリスも、何も言えなかったのだった。