昼食を食べ終えると、新年の謁見の時間が近づいてきた。
確か、今年は報告事項が沢山あるはずだ。
「えっと、夏頃に一斉摘発された貴族の処分、入園試験失格になった貴族の件、それに、帝国行きの件……」
謁見の間に向かいながら、僕は指折り数を数えた。
すると、ヘルナンデス様が苦笑しながら僕にツッコミをした。
「ケン君、大事なことを忘れている。君の陞爵もある、それは忘れては駄目だ」
あっ、そんな話もあったっけ。
完全に忘れていたよ。
僕の横を歩くクリスも、そんな事があったと思い出していた。
「二人とも、自分の事には本当に無頓着だ。ケン君を知っている者からすれば、順調に功績を積み重ねてきたと言えよう」
ルーカス様も、少し呆れた感じで話をしていた。
とはいえ、伯爵になったとしてもやる事は変わらない。
僕の目の前には、仕事が山ほど待っている。
クリスも、軍の仕事が沢山あった。
そんな僕とクリスを、ヘルナンデス様とルーカス様は改めて苦笑していた。
そして、新年の謁見が始まると予想以上に多くの事が報告された。
「大規模な横領を主導したオオクズ伯爵、並びにオオクズ男爵家は、横領のみならず不正発覚を逃れる為の様々な不正行為を行っていた。国としても断じて許す事はできない。親類も捕まり後継者不在ということもあり、爵位剥奪の上でお家取り潰しとする」
アーサー様の説明を聞き、伯爵家が一発取り潰しとなり謁見の間にいた貴族からどよめきが起きた。
とはいえ、あの巧妙な手口を使っての横領はかなりの大罪だ。
国としても貴族年金を払う必要がなくなり、得るものは大きい。
「オオクズ子爵家に関し、準男爵家への降格とする。また、十年間子爵家相当の税金を納める様に」
「仔細承知いたしました。ご迷惑をおかけし、本当に申し訳ありません」
他の貴族家も取り潰しになる中、元オオクズ子爵家は嫡男夫人が捜査に協力的だったのもあって降格で済んだ。
領地持ちの貴族だから、税金がとれるという実利を国は選択した。
この点に関しては、かなり早いうちに処分案が決まっていた。
「入園試験で不正をし、更に執行猶予中に横領をしたバフェット子爵家は、騎士爵に降格した上で親類に爵位を継がせる」
「旧バフェット家が大罪を犯し、本当に申し訳ありません」
ジュダの試験不正で一躍有名になったバフェット子爵家は、当初は取り潰し待ったなしだと思われていた。
その後、実は軍に勤める学園の卒業生の親類だと判明した。
当人は次男なので実家を継がないのもあり、優秀な者にバフェット家を継がせようという話となった。
この件も、国は実利を取った事になった。
どれもが犯した罪が罪なだけに、かなり勢力を落とした貴族主義勢力から反論はなかった。
「そして、今回の大規模横領事件解決に導いたノーム準男爵を、男爵へ陞爵とする」
「今後も、より一層業務にまい進いたします」
そして、僕の伯爵への陞爵よりも嬉しかったのが、実家のノーム準男爵家の陞爵だった。
打ち立てた功績を考えると順当な結果と言えたが、それでもエレンお祖父様はとても充実した表情だった。
なお、帝国へ行く件や入園式関連は問題なく報告された。
「功績をあげて陞爵するのは、かなりの苦労と言えよう。しかし、不正をすればあっという間に降格する。賢明な諸君なら、この意味は直ぐに分かるだろう。これからも、誠実に職務にまい進する事を期待する」
「「「「「はっ」」」」」
最後に、陛下が訓示めいた話をして謁見は終了した。
うーん、貴族主義勢力の貴族が大量に処分されたとはいえ、妙に残った貴族主義勢力の貴族が大人しかった気がする。
その理由は、謁見後の応接室で陛下がお菓子をむしゃむしゃと食べながら教えてくれた。
「講和会議後の謁見で、ケンは倒れた貴族を治療しているな。実は、昨年同様の理由で複数の貴族当主が死んでいる。贅沢をしすぎて貴族病に自らなったんだ、自業自得と言えよう」
陛下がお菓子を食べながらバッサリと切り捨てたが、まさかそんな理由があったなんて。
とはいえ、贅沢のしすぎでブクブクに太ったのなら何かしらの病気を抱えていたのは想像に難くない。
しかも、僕はそういう貴族当主を全然治療しなかった。
実は、適当にポーションでも飲めば治るだろうと安易に考えていたらしい。
結果、残念ながらポーションでは治らなかった。
「以前の謁見でも、余は貴族に贅沢のしすぎについて警告した。それでも、自分の欲望に忠実だった結果だ」
陛下も、この話はこれで終わりだと言った。
そして、話はエレンお祖父様の件となった。
「順当な結果と言えよう。ケンの事を抜きにしても、普通に功績を積み上げていた。今回の件がなくとも、近い内に陞爵はしていただろう」
陛下だけでなく、多くの人がエレンお祖父様は凄いと褒めてくれた。
ゴライオンさんも既に財務官僚として働いているし、何よりもアリアちゃん達と大の仲良しなルートちゃんの存在もある。
将来的に見ても、ノーム男爵家は安泰と言えるだろう。
「ケンの母親が産まれた貴族家というのもあるが、先ずは誠実に仕事をこなさないとならない。ケンの威光を盾にするのなら、それは貴族主義勢力とやっている事は変わらない。そういう点においても、ノーム男爵家はよくやっていると言えよう」
僕の父親と兄の件もあり、エレンお祖父様とフリージアお祖母様、それに僕の母親には物凄く迷惑をかけた。
そういう苦労もあるからこそ、エレンお祖父様も真面目に仕事をしていた。
それに、初めてエレンお祖父様とフリージアお祖母様と会った時から、僕の功績を利用する様な人ではないと思っていた。
確か、今年は報告事項が沢山あるはずだ。
「えっと、夏頃に一斉摘発された貴族の処分、入園試験失格になった貴族の件、それに、帝国行きの件……」
謁見の間に向かいながら、僕は指折り数を数えた。
すると、ヘルナンデス様が苦笑しながら僕にツッコミをした。
「ケン君、大事なことを忘れている。君の陞爵もある、それは忘れては駄目だ」
あっ、そんな話もあったっけ。
完全に忘れていたよ。
僕の横を歩くクリスも、そんな事があったと思い出していた。
「二人とも、自分の事には本当に無頓着だ。ケン君を知っている者からすれば、順調に功績を積み重ねてきたと言えよう」
ルーカス様も、少し呆れた感じで話をしていた。
とはいえ、伯爵になったとしてもやる事は変わらない。
僕の目の前には、仕事が山ほど待っている。
クリスも、軍の仕事が沢山あった。
そんな僕とクリスを、ヘルナンデス様とルーカス様は改めて苦笑していた。
そして、新年の謁見が始まると予想以上に多くの事が報告された。
「大規模な横領を主導したオオクズ伯爵、並びにオオクズ男爵家は、横領のみならず不正発覚を逃れる為の様々な不正行為を行っていた。国としても断じて許す事はできない。親類も捕まり後継者不在ということもあり、爵位剥奪の上でお家取り潰しとする」
アーサー様の説明を聞き、伯爵家が一発取り潰しとなり謁見の間にいた貴族からどよめきが起きた。
とはいえ、あの巧妙な手口を使っての横領はかなりの大罪だ。
国としても貴族年金を払う必要がなくなり、得るものは大きい。
「オオクズ子爵家に関し、準男爵家への降格とする。また、十年間子爵家相当の税金を納める様に」
「仔細承知いたしました。ご迷惑をおかけし、本当に申し訳ありません」
他の貴族家も取り潰しになる中、元オオクズ子爵家は嫡男夫人が捜査に協力的だったのもあって降格で済んだ。
領地持ちの貴族だから、税金がとれるという実利を国は選択した。
この点に関しては、かなり早いうちに処分案が決まっていた。
「入園試験で不正をし、更に執行猶予中に横領をしたバフェット子爵家は、騎士爵に降格した上で親類に爵位を継がせる」
「旧バフェット家が大罪を犯し、本当に申し訳ありません」
ジュダの試験不正で一躍有名になったバフェット子爵家は、当初は取り潰し待ったなしだと思われていた。
その後、実は軍に勤める学園の卒業生の親類だと判明した。
当人は次男なので実家を継がないのもあり、優秀な者にバフェット家を継がせようという話となった。
この件も、国は実利を取った事になった。
どれもが犯した罪が罪なだけに、かなり勢力を落とした貴族主義勢力から反論はなかった。
「そして、今回の大規模横領事件解決に導いたノーム準男爵を、男爵へ陞爵とする」
「今後も、より一層業務にまい進いたします」
そして、僕の伯爵への陞爵よりも嬉しかったのが、実家のノーム準男爵家の陞爵だった。
打ち立てた功績を考えると順当な結果と言えたが、それでもエレンお祖父様はとても充実した表情だった。
なお、帝国へ行く件や入園式関連は問題なく報告された。
「功績をあげて陞爵するのは、かなりの苦労と言えよう。しかし、不正をすればあっという間に降格する。賢明な諸君なら、この意味は直ぐに分かるだろう。これからも、誠実に職務にまい進する事を期待する」
「「「「「はっ」」」」」
最後に、陛下が訓示めいた話をして謁見は終了した。
うーん、貴族主義勢力の貴族が大量に処分されたとはいえ、妙に残った貴族主義勢力の貴族が大人しかった気がする。
その理由は、謁見後の応接室で陛下がお菓子をむしゃむしゃと食べながら教えてくれた。
「講和会議後の謁見で、ケンは倒れた貴族を治療しているな。実は、昨年同様の理由で複数の貴族当主が死んでいる。贅沢をしすぎて貴族病に自らなったんだ、自業自得と言えよう」
陛下がお菓子を食べながらバッサリと切り捨てたが、まさかそんな理由があったなんて。
とはいえ、贅沢のしすぎでブクブクに太ったのなら何かしらの病気を抱えていたのは想像に難くない。
しかも、僕はそういう貴族当主を全然治療しなかった。
実は、適当にポーションでも飲めば治るだろうと安易に考えていたらしい。
結果、残念ながらポーションでは治らなかった。
「以前の謁見でも、余は貴族に贅沢のしすぎについて警告した。それでも、自分の欲望に忠実だった結果だ」
陛下も、この話はこれで終わりだと言った。
そして、話はエレンお祖父様の件となった。
「順当な結果と言えよう。ケンの事を抜きにしても、普通に功績を積み上げていた。今回の件がなくとも、近い内に陞爵はしていただろう」
陛下だけでなく、多くの人がエレンお祖父様は凄いと褒めてくれた。
ゴライオンさんも既に財務官僚として働いているし、何よりもアリアちゃん達と大の仲良しなルートちゃんの存在もある。
将来的に見ても、ノーム男爵家は安泰と言えるだろう。
「ケンの母親が産まれた貴族家というのもあるが、先ずは誠実に仕事をこなさないとならない。ケンの威光を盾にするのなら、それは貴族主義勢力とやっている事は変わらない。そういう点においても、ノーム男爵家はよくやっていると言えよう」
僕の父親と兄の件もあり、エレンお祖父様とフリージアお祖母様、それに僕の母親には物凄く迷惑をかけた。
そういう苦労もあるからこそ、エレンお祖父様も真面目に仕事をしていた。
それに、初めてエレンお祖父様とフリージアお祖母様と会った時から、僕の功績を利用する様な人ではないと思っていた。


