みんなの着替えも無事に完了し、僕たちは馬車にのって大教会に向かいました。
 程なくして大教会に到着したけど、見た感じとしてはいつもと変わらないですね。
 広範囲探索魔法を使ったけど、大教会の周囲に怪しい反応はありません。
 安全を確認した所で、僕たちは馬車から降ります。
 すると、カエラとキースが僕たちのところにやってきました。

「ナオお兄ちゃん、頑張って悪者をやっつけたよ!」
「すっごく弱かったから、あっという間に終わっちゃったよ!」

 二人は僕に抱きついて来たけど、大教会を襲撃した犯罪組織の残党ってそんなに弱かったんですね。
 二人と一緒にいたクロちゃんたちも同様の反応をしているし、なんというか全く問題なかったんですね。

「殺気を隠さないなんて、襲撃犯として失格だね」
「変な人が直ぐ近くにいるって、あっという間に分かっちゃったよ」

 うん、カエラとキースが酷評するくらい酷い襲撃だったんだ。
 滅茶苦茶に打った魔法を防ぎつつ、あっという間に倒したみたいです。

「直ぐに倒しちゃったんだよ」
「つまんなかったー」

 セードルフちゃん、ルルちゃん、実際に襲撃を受けて危なかったんだよ。
 楽しむものじゃないんだからね。

「ノリスさん、ノーヴェさん、みんなのことを守ってくれてありがとうございます」
「いえ、万が一に備えて警戒をしていただけです」
「私も、皆さんを教会内に誘導しただけですから」

 ノリスさんとノーヴェさんはかなり謙遜しているけど、的確に行動してくれたみたいです。
 クロちゃんたちもとても頑張ってくれたし、みんなのおかげで被害が出なかったんだよね。

「この後は、奉仕活動の準備の続きね。ナオ君とエミリーは炊き出しの仕込みで、カエラとキースは治療ね。新しい二人は、私と少しお話しましょう」
「「はっ、はい!」」

 おお、シャーロットさんがニコニコしながらノリスさんとノーヴェさんを呼び寄せました。
 きっと、初めて会うのとみんなを守った件でお褒めの言葉があるはずですね。

「どらー」
「キュー」

 ちびっ子たちも、治療班のところに向かっています。
 シアちゃんもちびっ子たちについていき、ルルちゃんは既にドラちゃんを抱いてスタンバイオッケーですね。

「じゃあ、私たちも急いでお手伝いしないとね」

 僕も、エミリーさんと共に炊き出しの仕込みのところに向かいました。
 頑張って美味しいものを作って、町の人に喜んでもらいたいもんね。
 今日は、スープにパンとおにぎりをつけるそうです。
 いつもよりも、ちょっと豪華な内容ですね。

「うーん、久々に体を動かせるわ」

 ナンシーさんは、背伸びをしながら準備運動をしていました。
 クロちゃん、ギンちゃん、キキちゃんもナンシーさんの側にいて、いつでも炊き出しの列に並ぶ不審者の確認を行います。
 こうして、町の人への炊き出しは始まり、順調に進んで行きました。

「あっ、ノリスさん。シャーロットさんとのお話しは終わりました?」
「はい。王太后様はとても優しくて、先ほどの襲撃の警戒の件をとても褒めてくださいました。これからも頑張るようにと、励ましの声をかけてくれました」

 おお、ノリスさんが感激しながら話をしてくれたよ。
 ノーヴェさんもとてもいい表情だし、シャーロットさんにいっぱい褒められたんですね。
 こうして、みんなで頑張って奉仕活動を終えることができました。
 因みに、襲撃犯はヘンリーさんとスラちゃんの聴取対象に加えられて、敢えて催眠聴取を行わずに全て白状させられたそうです。
 それだけ、ヘンリーさんも今回の件は怒っていたんですね。