シャーロットさんも途中から合流したけど、報告があったのかゴーマン伯爵の暴走の件を知っていました。
 もはや、どうしようもないレベルみたいですね。

「状況を理解している貴族は、情報収集をして下手に動かないわ。周りのことなど関係なしに動いている、ゴーマン伯爵みたいなものが問題を起こすのよ。貴族だから何をしても許される、ってね、特に下位の貴族に対してはかなり強く出るわ。プライドが高いから、爵位が上の貴族にも噛みつくことがあるのよ」

 奉仕活動の準備をしながら、シャーロットさんが呆れた表情で話をしてきました。
 自分の思い通りにならないと、王家にも噛み付いてくる性格みたいです。
 謎に自信満々だったけど、それは根拠のないものみたいですね。
 だからこそ、嫡男の嫁にエミリーさんがなるのは当たり前だと思っていたみたいです。

「どうせ奴のことだ、屋敷を捜索したら色々なものが出てくるだろう。こちらは、気にせずに作業を行おう」

 ヘンリーさんは、もはやゴーマン伯爵のことを気にしていませんでした。
 僕たちも、目の前のことに集中しないとね。
 すると、周囲を確認していたクロちゃんたちが、軍の兵とともに教会に戻ってきました。

「報告いたします、ゴーマン伯爵の手先と思われるものを捕縛しました。周囲に兵を配置しておりますが、今のところ他に怪しいものは見つかっておりません」
「そうか、分かった。警戒は怠らないように」

 兵の報告を聞いたヘンリーさんは、直ぐに指示を出しています。
 さてさて、周囲の安全も確保できたので僕はエミリーさんとクロちゃんとドラちゃんとともに廃墟の浄化ですね。
 すると、ヘンリーさんがあることを話してきました。

「エミリー、ナオ君、浄化が終わる頃にはこちらの犯罪組織対応も終わるだろう。終わり次第、私たちはゴーマン伯爵家の捜索に加わる。奉仕活動は多くの兵と聖騎士が待機しているし、シンシアもいるから大丈夫だ」
「ふふふ、あの馬鹿の屋敷から、何でも見つけてやるわ。私を怒らせた罰を受けるがいいわ」

 ヘンリーさんの話を聞いたエミリーさんが、メラメラと怒りの炎を燃やしていた。
 というかクロちゃんたちもやる気満々だし、これは大変なことになりそうですね。

「あっ、ドラちゃんはカエラとキースとシャーロットさんを守ってあげてね」
「キュー!」

 僕のお願いに、ドラちゃんも元気よく返事をしていました。
 サマンサお姉ちゃんとナンシーさんも教会に残るみたいだし、戦力としてはバッチリですね。
 ではでは、僕たちは先に浄化作業を頑張らないとね。

「じゃあ、いってきまーす!」
「「アンアン!」」
「「いってらっしゃーい!」」

 スラム街の廃墟の浄化後、僕たちはカエラとキースの見送りを受けながら馬車に乗ってゴーマン伯爵家に向かいました。
 ゴーマン伯爵家に向かうのは僕とヘンリーさんとエミリーさん、それにスラちゃんとクロちゃんとギンちゃんとシアちゃんです。
 既に屋敷は軍が制圧しているみたいなんだけど、資料の確認はまだまだなんだって。

「エミリーとナオ君は、これから新たな勇者パーティの中心として背負って立つ存在だ。なので、今後はこういう捜査関係にも立ち会ってもらうよ」
「「頑張ります!」」
「「アンアン!」」

 ヘンリーさんの激に、僕とエミリーさんだけでなくクロちゃんとギンちゃんもやる気満々の声をだしていました。
 スラちゃんとシアちゃんが僕とエミリーさんに色々と教えると意気込んでいるけど、特にスラちゃんはもう何回もヘンリーさんと一緒に行動しているもんね。
 それに、クロちゃんとギンちゃんの鼻の良さにかかれば、見つからないものはありません。

「ただ、何が出るかは分からないから、気をつけて捜査に当たるように。先行している兵からの報告だと、特に怪しいものは見つかっていないそうだ」

 とはいえ、誰が何をするか分からないから、ヘンリーの言う通り十分に気をつけないといけないね。
 ということで、目的地のゴーマン伯爵家に到着です。
 うん、庭によく分からない彫刻の数々が置かれていて、既にカオス状態ですね。