「遠距離!?」




放課後の教室で、あたしは素っ頓狂な声を上げた。





「うん。」


美帆は、そんなあたしに対して何でもない事のように返事をする。





「……決めたんだ?」


「決めた。
卒業してからどうするかって、何度も話して、ケンカしてね。」


「うん…。」


「遠距離もヤダ、別れんのもヤダって言い続けてたんだけど。」


「うん…。」


「……だんだん…バカらしくなってさ。
不安だし、実際やってみたらどうなるか分かんないけど……信じたいんだよね、立花くんの事。」







………信じたい、か…。










卒業後、立花くんと別々の道を歩む美帆は、遠距離恋愛を決意した。






立花くんを信じたい、と言った美帆の表情は思い詰めても、塞ぎ込んでもいない。



むしろ、清々しい笑顔で。







あたしは、また、置き去りにされてしまったような孤独を感じる。




誰もが前へ進んでいるのに、あたしは立ち止まったまま…………。