「クールダウンだ、クールダウン。無茶ぶりはすんな。前日は体を鳴らす程度にして、あまり無茶して走り過ぎないように」
拓巳の叱咤が飛ぶ。
…明日が大会なのだと朝から全然湧くことのなかった実感が、ようやく湧いてきた。
「マネージャー、タオル!」
「あっ。はいはいっ」
一年生の女の子も、だいぶマネージャーとして慣れてきて。
…いやむしろ、あたしよりも慣れている気がして。
仕事の大半を、彼女に取られているような気がしなくもない。
「悪い、スポーツドリンク…」
「あ、あたしが持って行きますっ」
さすがに仕事を取られてばかりだと悲しい。
あたしはスポーツドリンクをひっつかんで、慌てて拓巳の元へと走った。
「…柚、顔怖い」
「えっ!?」