麗菜が紗子を見つめながら、皮肉げに笑っている。
「……凌雅様は、そんな人じゃないです……」
紗子は静かに立ち上がって告げた。
教室内が静まり返る。
紗子個人が馬鹿にされるのなら、いくらでも耐えられた。
しかし凌雅の真摯な気持ちを踏みにじるような発言を言われっぱなしでいるのは嫌だった。
「ザコさんのくせに、随分といい気になっているようですわね」
麗菜は腕を組みながら、紗子の傍へと歩み寄ってくる。
「いい気になど……」
「なっているじゃないの。すっかり勘違いしているわ。身の程をしりなさい。ザコさんの祓いの能力は、学園でも最低水準。おまけに家柄もない。凌雅殿下のお隣に立つ資格があなたにあるとでも思っているの」
麗菜の言葉は厳しくも正しかった。
自分に足りないものが多いことくらい、紗子は身を以って知っている。
紗子は身体の横で手を握り締めた。
「ねえ、麗菜さん。そのくらいにしてあげたらいかがかしら?」
寧々が穏やかな笑みで仲裁へと入る。
(私をかばって寧々ちゃんまで麗菜さんに目をつけられたら……)
紗子が口を開こうとする前に寧々は言葉を繋げた。
「凌雅殿下のお気持ちがどうであれ、最終的に天上界に未来の皇后としてすーちゃんが認められるかどうかは、また別のお話でしょ。今くらい夢を見ていたっていいんじゃないかしら。凌雅殿下も下界の女性が物珍しいだけなのかもしれないし」
寧々の言葉がなぜか紗子の胸に刺さった。
紗子を擁護しているはずなのに、麗菜の言葉よりも痛みが生じている。
「それに、もうすぐ披露の儀もあるわよ。2年生からは麗菜さんとすーちゃんも出るんでしょう」
披露の儀は、定期的に開催される日頃の祓いの修練の成果を示す、女学院の伝統行事だ。
参加できるのは、その都度、学園から選ばれた一部の生徒だけ。
時には天上人が見学に訪れることもあり、生徒たちにとっては晴れ舞台でもある。
今回は紗子も名前が挙げられていて、祓いの自主練習を多くしていたところだった。
「今回は凌雅殿下も台覧されると専らの噂ですし……」
寧々は麗菜へと意味有りげな視線を投げる。
(凌雅様が披露の儀をご覧になられる……)
紗子は動揺した。
凌雅に自分の恥ずかしい姿は見せたくない。
そう思ってしまう自分がいる。
(ますます頑張って練習しよう……)
美しい目鼻立ちを不機嫌そうに歪めながら寧々を見つめていた麗菜は顔を背けていた。
「……凌雅様は、そんな人じゃないです……」
紗子は静かに立ち上がって告げた。
教室内が静まり返る。
紗子個人が馬鹿にされるのなら、いくらでも耐えられた。
しかし凌雅の真摯な気持ちを踏みにじるような発言を言われっぱなしでいるのは嫌だった。
「ザコさんのくせに、随分といい気になっているようですわね」
麗菜は腕を組みながら、紗子の傍へと歩み寄ってくる。
「いい気になど……」
「なっているじゃないの。すっかり勘違いしているわ。身の程をしりなさい。ザコさんの祓いの能力は、学園でも最低水準。おまけに家柄もない。凌雅殿下のお隣に立つ資格があなたにあるとでも思っているの」
麗菜の言葉は厳しくも正しかった。
自分に足りないものが多いことくらい、紗子は身を以って知っている。
紗子は身体の横で手を握り締めた。
「ねえ、麗菜さん。そのくらいにしてあげたらいかがかしら?」
寧々が穏やかな笑みで仲裁へと入る。
(私をかばって寧々ちゃんまで麗菜さんに目をつけられたら……)
紗子が口を開こうとする前に寧々は言葉を繋げた。
「凌雅殿下のお気持ちがどうであれ、最終的に天上界に未来の皇后としてすーちゃんが認められるかどうかは、また別のお話でしょ。今くらい夢を見ていたっていいんじゃないかしら。凌雅殿下も下界の女性が物珍しいだけなのかもしれないし」
寧々の言葉がなぜか紗子の胸に刺さった。
紗子を擁護しているはずなのに、麗菜の言葉よりも痛みが生じている。
「それに、もうすぐ披露の儀もあるわよ。2年生からは麗菜さんとすーちゃんも出るんでしょう」
披露の儀は、定期的に開催される日頃の祓いの修練の成果を示す、女学院の伝統行事だ。
参加できるのは、その都度、学園から選ばれた一部の生徒だけ。
時には天上人が見学に訪れることもあり、生徒たちにとっては晴れ舞台でもある。
今回は紗子も名前が挙げられていて、祓いの自主練習を多くしていたところだった。
「今回は凌雅殿下も台覧されると専らの噂ですし……」
寧々は麗菜へと意味有りげな視線を投げる。
(凌雅様が披露の儀をご覧になられる……)
紗子は動揺した。
凌雅に自分の恥ずかしい姿は見せたくない。
そう思ってしまう自分がいる。
(ますます頑張って練習しよう……)
美しい目鼻立ちを不機嫌そうに歪めながら寧々を見つめていた麗菜は顔を背けていた。



