恋人なら、一番がいい


『ごめん。今週の日曜日、友達と遊ぶことになった』

 スマホの画面に表示されたメッセージを、私はしばらく見つめていた。
 日曜日。
 今週、彼と会えるかもしれないと思っていた日。

「そっか」

 そう返信して、送信ボタンを押す。
 たった三文字。
 本当は、ほかにも伝えたいことがあった。
 先週も会えなかったよね。
 今週は会えると思ってたのに。
 私とも遊びたいって、思わないのかな。
 頭の中ではいくつもの言葉が浮かんでは消えていく。
 けれど、どれも送信することはできなかった。
 だって、彼には彼の予定がある。
 友達と遊びたい気持ちだって、わかる。
 私だって友達は大切だし、友達と過ごす時間がなくなってもいいなんて思っていない。
 彼氏ができたからといって、友達との関係をおろそかにしたいわけじゃない。
 それなのに彼が友達と遊ぶと聞くと、どうしてこんなに寂しくなるんだろう。
 しばらくして、またスマホが震えた。

『来週なら会えるよ』

 彼からのメッセージだった。
 来週。
 たった一週間先のことなのに、ひどく遠く感じた。

『わかった!』

 明るく見えるように、最後に感嘆符をつけて返信した。
 スマホを伏せて、ベッドに横になる。
 画面を見なければ、もう気にしなくて済むと思った。
 けれど、数分もしないうちに、私はまたスマホを手に取っていた。
 彼から新しいメッセージが届いていないか、確かめるために。
 もちろん、何も届いていなかった。
 私は小さく息を吐いて、スマホを枕元に置いた。
 彼が悪いわけじゃない。
 そんなことはわかっている。
 友達を大切にすることは、悪いことじゃない。
 恋人ができたからといって、ほかの人との時間を減らさなければいけない理由もない。
 頭では、ちゃんと理解していた。
 それでも、私は彼にもっと会いたかった。
 もっと話したかった。
 なのに、彼はそうじゃないのだろうか。
 好きなら、もっと会いたいと思わないのだろうか。
 私がこんなに会いたいと思っているのに、彼はどうして平気でいられるのだろう。
 考えても、答えは出なかった。
 ただ一つだけ、このときの私は信じていた。
 恋人なら、恋人を一番にするものだと。