手元の机には、一枚の紙。
『進路希望調査票』。
大きなゴシック文字で、将来どうするんだとこちらに問いただしてきている。その無感情な冷たい紙一枚を巡って、我が家ではやいのやいのと盛り上がっている真っ只中だ。
そして何故か、晴哉と晴哉の家族も一緒に机を囲んでいる。
「もう進路のこと聞かれるの?早いわね〜」
「面談で使うんだって」
「あら〜、面談で? うちの三月なんてぽやーっとしてるから何も決まってないのにねえ。 晴くんは決めてるの?」
「うーん、なんとなく」
「晴くんはなんでもできるものねえ」
「そんなことないわよこんな子供。三月くんの方が成績は上なんだから」
「三月は暇だから勉強ぐらいはそれなりにできてないと困るわよ〜」
「……」
僕を抜きにして大盛り上がりだ。この光景には見慣れたものだから、何も口を挟むつもりもない。
「あのさ、思ったんだけど」
お茶とお菓子をつまむ母同士の会話を区切って、晴哉が混じる。
なんとなく、何を言い出そうとしているのかわかった。
「俺と三月卒業後一緒に住むのはなし? 同じ大学目指してさ」
「でーた! あんったいつまで兄貴気分でいるつもりよ、昔からべったりで。嫌よねえ?三月くん」
「えー?うちとしてはこんな頼りになる晴くんが一緒なんて心強いわよ、昨日なんてどこ行ってたのか夜中に帰ってきて部屋に閉じこもって。何聞いても答えないし、何考えてんのかわかんないし。一人暮らしなんてさせたら野垂れ死ぬわよ」
「だよねおばさん」
「うん!」
すっかり意気投合してしまった。
はあ、と息を吐いて大して面白くもないテレビのバラエティ番組をぼーっと見つめる。すると、テーブルに置いていたスマホが振動して通知を知らせた。
表示されたアイコンは愁からで、1件のメッセージが届いていた。
『今から高台の公園に来ーへん?』
「……ごめん、ちょっと出かけてくる」
「は……?」
「えー今から?もうご飯なんだけど」
「先食べてて」
「三月っ!」
「あら〜三月くんにも彼女?」
「んなわけねえだろ」
「あんたに聞いてんじゃないわよ。気にせず行ってきな〜」
晴哉のとこのおばさんに快く見送られ、急いで家を出た。
今日は少しだけ肌寒い。暖かくなったり寒くなったり。
いっそどっちかにしてほしい。
小走りで、町にひとつの高台に向かった。
『進路希望調査票』。
大きなゴシック文字で、将来どうするんだとこちらに問いただしてきている。その無感情な冷たい紙一枚を巡って、我が家ではやいのやいのと盛り上がっている真っ只中だ。
そして何故か、晴哉と晴哉の家族も一緒に机を囲んでいる。
「もう進路のこと聞かれるの?早いわね〜」
「面談で使うんだって」
「あら〜、面談で? うちの三月なんてぽやーっとしてるから何も決まってないのにねえ。 晴くんは決めてるの?」
「うーん、なんとなく」
「晴くんはなんでもできるものねえ」
「そんなことないわよこんな子供。三月くんの方が成績は上なんだから」
「三月は暇だから勉強ぐらいはそれなりにできてないと困るわよ〜」
「……」
僕を抜きにして大盛り上がりだ。この光景には見慣れたものだから、何も口を挟むつもりもない。
「あのさ、思ったんだけど」
お茶とお菓子をつまむ母同士の会話を区切って、晴哉が混じる。
なんとなく、何を言い出そうとしているのかわかった。
「俺と三月卒業後一緒に住むのはなし? 同じ大学目指してさ」
「でーた! あんったいつまで兄貴気分でいるつもりよ、昔からべったりで。嫌よねえ?三月くん」
「えー?うちとしてはこんな頼りになる晴くんが一緒なんて心強いわよ、昨日なんてどこ行ってたのか夜中に帰ってきて部屋に閉じこもって。何聞いても答えないし、何考えてんのかわかんないし。一人暮らしなんてさせたら野垂れ死ぬわよ」
「だよねおばさん」
「うん!」
すっかり意気投合してしまった。
はあ、と息を吐いて大して面白くもないテレビのバラエティ番組をぼーっと見つめる。すると、テーブルに置いていたスマホが振動して通知を知らせた。
表示されたアイコンは愁からで、1件のメッセージが届いていた。
『今から高台の公園に来ーへん?』
「……ごめん、ちょっと出かけてくる」
「は……?」
「えー今から?もうご飯なんだけど」
「先食べてて」
「三月っ!」
「あら〜三月くんにも彼女?」
「んなわけねえだろ」
「あんたに聞いてんじゃないわよ。気にせず行ってきな〜」
晴哉のとこのおばさんに快く見送られ、急いで家を出た。
今日は少しだけ肌寒い。暖かくなったり寒くなったり。
いっそどっちかにしてほしい。
小走りで、町にひとつの高台に向かった。
