「15年も探したのだぞ。あの鳥居の場所がわからなくて、休暇のたびに樹海を歩き回って。どれほどおまえに会いたかったか」
「悠一朗様……」
「愛している。過去の初恋の君としてではなく、今、俺の隣で笑い、お茶を淹れ、俺のために泣いてくれる『凛子』というおまえを愛しているのだ」
熱い告白とともに、再び重なる唇。
悪夢のような夜が明け、烏丸邸には穏やかで輝かしい朝の光が差し込む。
すれ違いの長い夜は終わりを告げ、二人は永遠の愛を誓い合った。
◇
銃の暴発で佐伯参謀総長は亡くなり、彼の部下も全員行方不明。
昨夜、なぜ佐伯参謀総長が烏丸邸の前で銃の引き金を引いたのか、真相は誰にもわからない永遠の謎となった。
「深夜のことであり、当方は就寝中であったため何も存じ上げない。それに私が銃を使わないのは皆の知るところだ」
参謀本部から事情を聞かれた悠一朗は、素知らぬ顔で回答し、事件は「参謀総長があやかしに襲われた不幸な事故」として処理されることとなった——。
数日後、うららかな午後の書斎で淹れたてのコーヒーを凛子は机に置いた。
もう黒髪には染めていない。
悠一朗様が染める必要はないと言ってくれたからだ。
「参謀本部には凛子のことを話してある」
「えっ?」
「結婚したい相手がいると」
「……護符師、ではなく?」
悠一朗は万年筆を置くと椅子から立ち上がり、不安そうな凛子の手首を優しく引き寄せた。
「俺が人生をかけて愛した、たった一人の女性としてだ」
余計なことを言って奪われてたまるかと、悠一朗は凛子を腕の中へ閉じ込める。
「参謀本部にも軍の連中にも、俺から15年の想い人を奪ったら容赦しないと釘を刺した」
「そ、そんなことを……?」
凛子が目を見開くと、悠一朗は愛おしそうに凛子の頬に触れた。
光を浴びてキラキラと輝く純金の髪。
隠す必要のなくなった本来の美しさに、悠一朗は感極まったように目を細める。
「権力や政治の都合で、清らかな凛子を汚されてたまるか」
「私、ずっとこの力のせいで、誰かに利用されるのではないかと不安だったんです」
「俺がこの命に代えても守る」
悠一朗は凛子の涙を親指でそっと拭うと、額を寄せ合わせた。
「俺の隣にいてくれ、凛子。俺の妻として」
護符師という便利な道具としてではなく、ひとりの女性として15年も想ってくれたことがなによりも嬉しい。
吸い寄せられるように唇が重なり、甘い口づけに酔いそうだ。
「ずっとお側にいさせてください」
凛子は悠一朗に抱きつくと、「愛しています」と囁いた。
END
「悠一朗様……」
「愛している。過去の初恋の君としてではなく、今、俺の隣で笑い、お茶を淹れ、俺のために泣いてくれる『凛子』というおまえを愛しているのだ」
熱い告白とともに、再び重なる唇。
悪夢のような夜が明け、烏丸邸には穏やかで輝かしい朝の光が差し込む。
すれ違いの長い夜は終わりを告げ、二人は永遠の愛を誓い合った。
◇
銃の暴発で佐伯参謀総長は亡くなり、彼の部下も全員行方不明。
昨夜、なぜ佐伯参謀総長が烏丸邸の前で銃の引き金を引いたのか、真相は誰にもわからない永遠の謎となった。
「深夜のことであり、当方は就寝中であったため何も存じ上げない。それに私が銃を使わないのは皆の知るところだ」
参謀本部から事情を聞かれた悠一朗は、素知らぬ顔で回答し、事件は「参謀総長があやかしに襲われた不幸な事故」として処理されることとなった——。
数日後、うららかな午後の書斎で淹れたてのコーヒーを凛子は机に置いた。
もう黒髪には染めていない。
悠一朗様が染める必要はないと言ってくれたからだ。
「参謀本部には凛子のことを話してある」
「えっ?」
「結婚したい相手がいると」
「……護符師、ではなく?」
悠一朗は万年筆を置くと椅子から立ち上がり、不安そうな凛子の手首を優しく引き寄せた。
「俺が人生をかけて愛した、たった一人の女性としてだ」
余計なことを言って奪われてたまるかと、悠一朗は凛子を腕の中へ閉じ込める。
「参謀本部にも軍の連中にも、俺から15年の想い人を奪ったら容赦しないと釘を刺した」
「そ、そんなことを……?」
凛子が目を見開くと、悠一朗は愛おしそうに凛子の頬に触れた。
光を浴びてキラキラと輝く純金の髪。
隠す必要のなくなった本来の美しさに、悠一朗は感極まったように目を細める。
「権力や政治の都合で、清らかな凛子を汚されてたまるか」
「私、ずっとこの力のせいで、誰かに利用されるのではないかと不安だったんです」
「俺がこの命に代えても守る」
悠一朗は凛子の涙を親指でそっと拭うと、額を寄せ合わせた。
「俺の隣にいてくれ、凛子。俺の妻として」
護符師という便利な道具としてではなく、ひとりの女性として15年も想ってくれたことがなによりも嬉しい。
吸い寄せられるように唇が重なり、甘い口づけに酔いそうだ。
「ずっとお側にいさせてください」
凛子は悠一朗に抱きつくと、「愛しています」と囁いた。
END
