麒麟の護符師と冷徹将校の十五年目の初恋~身分を隠す黒髪乙女は、命を救った一途な軍人に愛される~

 凛子の護符に守られた悠一朗からパンッと跳ねられた刺客は、驚き慌てて距離を取る。
 悠一朗は一瞬で抜刀し、刺客の武器を叩き落とした。
 
 刺客は胸元から火打ち石を取り出し、小さな火花を散らす。
 同時に暗闇の門の外から、甲高い銃声が夜空に轟いた。

「ぐっ……!」
 狙撃された弾丸が悠一朗の二の腕を掠め、鮮血が舞う。
 
「……火花で居場所を知らせたか」
 悠一朗は刺客を気絶させると、建物の柱に身を隠した。

「悠一朗様! ご無事ですか? 今の音は……」
「……かすっただけだ……絶対に出るな」
 自分の傷よりも凛子を案じる悠一朗の声に、凛子は不安になる。
 
「血の匂いがする……」
 玄関扉の向こうからかすかに香る血の匂い。

 私の大切な人を、悠一朗様を傷つけるなんて。
 絶対、許さない……!

 激しい怒りと、悠一朗を救いたいという切なる願いが、凛子を支配する。
 凛子は玄関扉を開け、悠一朗と目を合わせた。
 
「出るなと……!」
 凛子の漆黒の髪が、根元から眩いばかりの純金の色へと変わっていく。
 全身から溢れ出すのは、神聖なる神獣『麒麟』の圧倒的な霊力。

「な、なんだあの光は……?」
 門の外で銃を構えていた佐伯参謀総長と部下たちが、目を見開く。

 凛子は静かに悠一朗の腕に手を添えた。

 黄金の光が悠一朗の傷口を包み込むと、掠り傷は一瞬にして消え去り、跡形もなく塞がっていく。

「傷が、消えた……? 凛子、おまえ……その髪は……」
 目を見開く悠一朗を横目に、金の髪をなびかせた凛子は門の外の悪党たちへ向けて冷たい眼差しを向けた。