「もしあの連中におまえを見つけられ、連れ去られたらどうしようかと。軍を敵に回す覚悟はあっても、おまえを失う恐怖で、冷や汗が止まらなかった」
「悠一朗様……」
悠一朗は凛子の髪に深く顔を埋め、深く息を吸い込んだ。
「届けてくれたあの護符がずっと温かかった。おまえが俺を、この屋敷を守ろうとしてくれたのが嬉しかった」
「私にお手伝いできるのは、これくらいしかありませんから……」
「十分だ。……おまえがいてくれて、本当によかった」
頭の上から降ってくる、優しくて、たまらなく甘い言葉。
凛子の胸がぎゅっと締め付けられる。
どうして……こんなにも私を大切にしてくださるの……?
私のせいでみんなが、悠一朗様が危険な目に遭ったのに。
悠一朗様は昔の金の髪の私だけじゃなくて、今の私のことも、思ってくださっているの……?
私があの時の金の髪の女の子だよと明かして、この温かい胸に飛び込みたい。
だが、軍から命を狙われている今、正体を明かすことはさらなる危険を悠一朗に持ち込むことになる。
甘さと切なさが混ざり合い、凛子はそっと胸元で拳を握り締めた。
「悠一朗様にお怪我がなくて、本当によかったです」
「あぁ。おまえのおかげだ」
名残惜しそうにゆっくりと腕が解かれる。
至近距離で見つめ合うふたりの頬は、どちらも赤く染まっていた。
「せっかくの休暇だ。今日は一日、おまえの仕事を観察する」
「えっ? 観察?」
「俺の目の届くところにいろ」
書斎も寝室も掃除をしている姿を見ると言われた凛子は、正直に「掃除しにくいです」と笑った。
書斎の掃除をしている凛子の横で、悠一朗は引き出しから細い金縁の眼鏡を取り出し、静かに耳へと掛けた。
普段の凛々しい軍服姿とは一味違う、知性と大人の色気が漂う眼鏡姿。
不意打ちのギャップに、凛子はドキンと胸を跳ね上がらせる。
普段は眼鏡なんて掛けていないのに……!
顔が熱くなるのを誤魔化すように、凛子は雑巾を手にして清掃に取りかかった。
今日も少しだけ樹海の薬草を入れて。
「……凛子」
「はい?」
「おまえがここにいてくれるだけで、この部屋がいつもよりずっと明るく感じる」
それはこの薬草と麒麟の力です……なんて言えないけれど、少しでも過ごしやすくなったらうれしい。
「悠一朗様……」
悠一朗は凛子の髪に深く顔を埋め、深く息を吸い込んだ。
「届けてくれたあの護符がずっと温かかった。おまえが俺を、この屋敷を守ろうとしてくれたのが嬉しかった」
「私にお手伝いできるのは、これくらいしかありませんから……」
「十分だ。……おまえがいてくれて、本当によかった」
頭の上から降ってくる、優しくて、たまらなく甘い言葉。
凛子の胸がぎゅっと締め付けられる。
どうして……こんなにも私を大切にしてくださるの……?
私のせいでみんなが、悠一朗様が危険な目に遭ったのに。
悠一朗様は昔の金の髪の私だけじゃなくて、今の私のことも、思ってくださっているの……?
私があの時の金の髪の女の子だよと明かして、この温かい胸に飛び込みたい。
だが、軍から命を狙われている今、正体を明かすことはさらなる危険を悠一朗に持ち込むことになる。
甘さと切なさが混ざり合い、凛子はそっと胸元で拳を握り締めた。
「悠一朗様にお怪我がなくて、本当によかったです」
「あぁ。おまえのおかげだ」
名残惜しそうにゆっくりと腕が解かれる。
至近距離で見つめ合うふたりの頬は、どちらも赤く染まっていた。
「せっかくの休暇だ。今日は一日、おまえの仕事を観察する」
「えっ? 観察?」
「俺の目の届くところにいろ」
書斎も寝室も掃除をしている姿を見ると言われた凛子は、正直に「掃除しにくいです」と笑った。
書斎の掃除をしている凛子の横で、悠一朗は引き出しから細い金縁の眼鏡を取り出し、静かに耳へと掛けた。
普段の凛々しい軍服姿とは一味違う、知性と大人の色気が漂う眼鏡姿。
不意打ちのギャップに、凛子はドキンと胸を跳ね上がらせる。
普段は眼鏡なんて掛けていないのに……!
顔が熱くなるのを誤魔化すように、凛子は雑巾を手にして清掃に取りかかった。
今日も少しだけ樹海の薬草を入れて。
「……凛子」
「はい?」
「おまえがここにいてくれるだけで、この部屋がいつもよりずっと明るく感じる」
それはこの薬草と麒麟の力です……なんて言えないけれど、少しでも過ごしやすくなったらうれしい。
