「思わぬ休暇になってしまった。凛子、コーヒーを書斎に頼む」
「すぐお持ちします」
吉雄と一緒に階段を上がっていく悠一朗の後ろ姿を凛子が見つめていると、菊代がスッと寄ってくる。
「……悠一朗様と恋仲なんですか?」
「わ、私なんかがそんな、平民ですし、……それに悠一朗様には金色の髪の方が……」
ワタワタと両手を左右に振りながら凛子が否定すると、金の髪の女性のことをみんな知っているのだろう。
少し気まずい雰囲気になってしまった。
「コーヒー、お淹れしないと」
凛子は逃げるようにその場を走り去る。
みんなから見えない場所まで移動した凛子は、小さく溜息をついた。
いつものように護符で浄化した水を使ってゆっくりとコーヒーを淹れる。
このコーヒーは悠一朗様が自分好みのブレンドに調整させたオリジナルなのだと料理長が教えてくれた。
他にも書斎で使っているインクや、ハンカチーフもこだわりがあるそうだ。
悠一朗様のことはまだまだ知らないことばかりだ。
「悠一朗様、コーヒーをお持ちいたしました」
「あぁ、入れ」
扉を開けると、悠一朗は軍服のジャケットを脱ぎ、シャツ姿で机の縁に腰掛けていた。
先ほどまでの将校としての殺気はすっかり消え、どこか疲れたような、けれど穏やかな表情で凛子を見つめている。
「失礼いたします」
机にコーヒーを置いたタイミングを見計らったかのように、凛子の手首は温かい大きな手で包み込まれた。
「あっ……」
昨夜と同じ、熱い手。
思わず息をのむ凛子の腕を、悠一朗は拒めない強さで引く。
ストンと凛子の身体は悠一朗の胸元へと引き寄せられた。
「ゆ、悠一朗様……?」
昨夜のように寸止めで踏みとどまるかと思った瞬間、悠一朗の大きな腕が凛子の背中に回され、そのまま力強く抱きしめられる。
目の前が白いシャツで埋まり、悠一朗の胸の鼓動がダイレクトに凛子の耳へと届く。
ドックン、ドックンと、凄まじい速さで打ち鳴らされる心臓の音。
「……少しだけ、こうさせてくれ」
凛子の背中に回された腕にぎゅっと力がこもる。
「……恐ろしかった」
ポツリと呟かれた言葉に、凛子はハッと目を見開いた。
「すぐお持ちします」
吉雄と一緒に階段を上がっていく悠一朗の後ろ姿を凛子が見つめていると、菊代がスッと寄ってくる。
「……悠一朗様と恋仲なんですか?」
「わ、私なんかがそんな、平民ですし、……それに悠一朗様には金色の髪の方が……」
ワタワタと両手を左右に振りながら凛子が否定すると、金の髪の女性のことをみんな知っているのだろう。
少し気まずい雰囲気になってしまった。
「コーヒー、お淹れしないと」
凛子は逃げるようにその場を走り去る。
みんなから見えない場所まで移動した凛子は、小さく溜息をついた。
いつものように護符で浄化した水を使ってゆっくりとコーヒーを淹れる。
このコーヒーは悠一朗様が自分好みのブレンドに調整させたオリジナルなのだと料理長が教えてくれた。
他にも書斎で使っているインクや、ハンカチーフもこだわりがあるそうだ。
悠一朗様のことはまだまだ知らないことばかりだ。
「悠一朗様、コーヒーをお持ちいたしました」
「あぁ、入れ」
扉を開けると、悠一朗は軍服のジャケットを脱ぎ、シャツ姿で机の縁に腰掛けていた。
先ほどまでの将校としての殺気はすっかり消え、どこか疲れたような、けれど穏やかな表情で凛子を見つめている。
「失礼いたします」
机にコーヒーを置いたタイミングを見計らったかのように、凛子の手首は温かい大きな手で包み込まれた。
「あっ……」
昨夜と同じ、熱い手。
思わず息をのむ凛子の腕を、悠一朗は拒めない強さで引く。
ストンと凛子の身体は悠一朗の胸元へと引き寄せられた。
「ゆ、悠一朗様……?」
昨夜のように寸止めで踏みとどまるかと思った瞬間、悠一朗の大きな腕が凛子の背中に回され、そのまま力強く抱きしめられる。
目の前が白いシャツで埋まり、悠一朗の胸の鼓動がダイレクトに凛子の耳へと届く。
ドックン、ドックンと、凄まじい速さで打ち鳴らされる心臓の音。
「……少しだけ、こうさせてくれ」
凛子の背中に回された腕にぎゅっと力がこもる。
「……恐ろしかった」
ポツリと呟かれた言葉に、凛子はハッと目を見開いた。
