「これを手分けして貼ってください!」
「はい!」
吉雄は使用人たちに命じ、急いで貼らせる。
「屋敷の門にも貼りたいです」
「私が参りましょう」
「コレは悠一朗様に」
「お預かりします」
護符を懐に抱いた吉雄が、重々しく玄関の扉を開けて外へ出ていく。
凛子は文乃に止められつつも、半開きになった扉の隙間から息を殺して外を覗き込んだ。
門の向こうには、黒塗りの高級車の脇に立つ年配の男。
ズラリと銃を構えた軍人たち。
対する悠一朗は、たった一人でその銃口の群れを見据えていた。
「烏丸隊長。君が『西門の護符屋』を匿っているという証言がある」
「根拠のない証言で我が烏丸邸を脅すおつもりですか」
悠一朗の声は、氷のように冷たく響く。
静かに近づいた吉雄が、悠一朗の耳元で何かを囁き、そっと凛子の護符を手渡した。
悠一朗は吐息を漏らすと、凛子の護符を軍服の胸ポケットへ大切にしまい込む。
門にこれを貼りたいと言った吉雄を目線で制し、悠一朗は「すぐに屋敷へ戻り、扉を固めろ」と低く命じた。
「とぼけるな。これは、ここで女中をしていた者の証言だ」
参謀総長が顎でしゃくった先、黒塗りの車の物陰に一人の女性が身を潜めている。
派手な化粧に、派手な着物。
あの女性は凛子にも見覚えがある。
凛子を妬み、蔵に閉じ込めたあの派手な元女中だ。
「……なるほど。軍の取調室へ送致された腹いせか。新しく雇った女中に俺が目をかけたからと嫉妬し、彼女を蔵に閉じ込めた犯人が、今度は佐伯参謀総長を騙すとは」
悠一朗は薄く冷酷な笑みを浮かべ、元女中を蔑むように見下ろした。
「そんな愚かな腹いせの嘘に踊らされ、わざわざ重武装の部隊を率いて我が家に押しかけるとは。佐伯参謀総長もずいぶんと焼きが回られたようだ」
「う、嘘ではありませんわ!」
悠一朗の容赦ない暴露に、元女中は顔を蒼白にしながら悠一朗の威圧に震える。
「……私怨の狂言に付き合わされたとお気づきなら、速やかに兵を引かれよ。これ以上立ち入るなら、我が烏丸家に対する宣戦布告とみなし、こちらも相応の対応をさせていただく」
胸の中の凛子の護符にそっと手を添えながら、悠一朗は参謀総長と兵たちの銃口を冷ややかに見据えた——。
「はい!」
吉雄は使用人たちに命じ、急いで貼らせる。
「屋敷の門にも貼りたいです」
「私が参りましょう」
「コレは悠一朗様に」
「お預かりします」
護符を懐に抱いた吉雄が、重々しく玄関の扉を開けて外へ出ていく。
凛子は文乃に止められつつも、半開きになった扉の隙間から息を殺して外を覗き込んだ。
門の向こうには、黒塗りの高級車の脇に立つ年配の男。
ズラリと銃を構えた軍人たち。
対する悠一朗は、たった一人でその銃口の群れを見据えていた。
「烏丸隊長。君が『西門の護符屋』を匿っているという証言がある」
「根拠のない証言で我が烏丸邸を脅すおつもりですか」
悠一朗の声は、氷のように冷たく響く。
静かに近づいた吉雄が、悠一朗の耳元で何かを囁き、そっと凛子の護符を手渡した。
悠一朗は吐息を漏らすと、凛子の護符を軍服の胸ポケットへ大切にしまい込む。
門にこれを貼りたいと言った吉雄を目線で制し、悠一朗は「すぐに屋敷へ戻り、扉を固めろ」と低く命じた。
「とぼけるな。これは、ここで女中をしていた者の証言だ」
参謀総長が顎でしゃくった先、黒塗りの車の物陰に一人の女性が身を潜めている。
派手な化粧に、派手な着物。
あの女性は凛子にも見覚えがある。
凛子を妬み、蔵に閉じ込めたあの派手な元女中だ。
「……なるほど。軍の取調室へ送致された腹いせか。新しく雇った女中に俺が目をかけたからと嫉妬し、彼女を蔵に閉じ込めた犯人が、今度は佐伯参謀総長を騙すとは」
悠一朗は薄く冷酷な笑みを浮かべ、元女中を蔑むように見下ろした。
「そんな愚かな腹いせの嘘に踊らされ、わざわざ重武装の部隊を率いて我が家に押しかけるとは。佐伯参謀総長もずいぶんと焼きが回られたようだ」
「う、嘘ではありませんわ!」
悠一朗の容赦ない暴露に、元女中は顔を蒼白にしながら悠一朗の威圧に震える。
「……私怨の狂言に付き合わされたとお気づきなら、速やかに兵を引かれよ。これ以上立ち入るなら、我が烏丸家に対する宣戦布告とみなし、こちらも相応の対応をさせていただく」
胸の中の凛子の護符にそっと手を添えながら、悠一朗は参謀総長と兵たちの銃口を冷ややかに見据えた——。
