「……わかりました。逃げたりいたしません。だから、どうか手を緩めてくださいませ……」
「今離したら、消えてしまいそうだ」
縋るような悠一朗の瞳に、凛子は息をのむ。
悠一朗は手首をつかんでいた大きな手を名残惜しそうに凛子の指先へ滑らせ、小さな手を包み込むようにギュッと握り締めた。
どうして私に、そんな顔をなさるのですか……?
私ではなく、金の髪の子を今でも想っているのでしょう?
思考とは裏腹に、凛子の体温は一気に跳ね上がり、顔が火照っていく。
このあとどうやって自分の部屋へ戻ったのか覚えていない。
自室の布団に潜り込んでも心臓の鼓動は一向に収まらず、凛子はほとんど眠れないまま朝を迎えてしまった。
朝焼けが差し込む中、凛子は冷たい水で顔を洗い、何度も深呼吸をする。
昨夜の悠一朗様は、お疲れで少し弱っていらっしゃっただけ。
自分にそう言い聞かせ、毎朝の日課である悠一朗の寝室への給仕に向かう。
「悠一朗様、お茶をお持ちいたしました」
「……入れ」
軍服のジャケットに腕を通しながら、悠一朗がゆっくりとこちらを振り返る。
「おはよう、凛子」
「おはようございます」
目が合った瞬間、昨夜の握り締められた手の感触が鮮明に蘇り、凛子の頬が一気に沸騰した。
慌てて視線を泳がせながら、サイドテーブルへお茶を置く。
どうしよう。顔が見られない……!
「……眠れなかったのか?」
軍服のボタンを閉めながら悠一朗が凛子に近づく。
手が頬に触れ、上を向かされた凛子は、悠一朗も寝不足だと感じ取った。
「……悠一朗様、このお茶を飲んでお出かけくださいませ」
「あぁ。いただこう」
このお茶も護符で浄化済みの水で淹れたもの。
少しは疲れが取れるはずだ。
「俺を試すような真似はしないでくれ」
「え……? それはどういう……?」
意味がわからずきょとんと答えた凛子は、悠一朗に触れられた襟元でようやく気づいた。
悠一朗にお仕着せのボタンをはめられた凛子は真っ赤な顔に。
「も、申し訳ございません」
寝ぼけていたからといって、襟のボタンを閉め忘れるなんて!
「今離したら、消えてしまいそうだ」
縋るような悠一朗の瞳に、凛子は息をのむ。
悠一朗は手首をつかんでいた大きな手を名残惜しそうに凛子の指先へ滑らせ、小さな手を包み込むようにギュッと握り締めた。
どうして私に、そんな顔をなさるのですか……?
私ではなく、金の髪の子を今でも想っているのでしょう?
思考とは裏腹に、凛子の体温は一気に跳ね上がり、顔が火照っていく。
このあとどうやって自分の部屋へ戻ったのか覚えていない。
自室の布団に潜り込んでも心臓の鼓動は一向に収まらず、凛子はほとんど眠れないまま朝を迎えてしまった。
朝焼けが差し込む中、凛子は冷たい水で顔を洗い、何度も深呼吸をする。
昨夜の悠一朗様は、お疲れで少し弱っていらっしゃっただけ。
自分にそう言い聞かせ、毎朝の日課である悠一朗の寝室への給仕に向かう。
「悠一朗様、お茶をお持ちいたしました」
「……入れ」
軍服のジャケットに腕を通しながら、悠一朗がゆっくりとこちらを振り返る。
「おはよう、凛子」
「おはようございます」
目が合った瞬間、昨夜の握り締められた手の感触が鮮明に蘇り、凛子の頬が一気に沸騰した。
慌てて視線を泳がせながら、サイドテーブルへお茶を置く。
どうしよう。顔が見られない……!
「……眠れなかったのか?」
軍服のボタンを閉めながら悠一朗が凛子に近づく。
手が頬に触れ、上を向かされた凛子は、悠一朗も寝不足だと感じ取った。
「……悠一朗様、このお茶を飲んでお出かけくださいませ」
「あぁ。いただこう」
このお茶も護符で浄化済みの水で淹れたもの。
少しは疲れが取れるはずだ。
「俺を試すような真似はしないでくれ」
「え……? それはどういう……?」
意味がわからずきょとんと答えた凛子は、悠一朗に触れられた襟元でようやく気づいた。
悠一朗にお仕着せのボタンをはめられた凛子は真っ赤な顔に。
「も、申し訳ございません」
寝ぼけていたからといって、襟のボタンを閉め忘れるなんて!
