いつものように凛子は淹れたてのコーヒーを盆に乗せ、静かに書斎の扉を叩いた。
「悠一朗様、コーヒーをお持ちし……」
あれ? 返事がない?
凛子はそっと扉を開ける。
悠一朗が机に倒れ込んでいるように見えた凛子は慌てて中に入り、コーヒーを入り口近くの棚に置いて悠一朗の元へ駆けつけた。
「……寝ている?」
連日のあやかし討伐と過酷な軍務が重なり、限界を迎えて眠ってしまったらしい。
整った横顔には色濃い疲労の影が差している。
本当にお疲れなのね。
少しでも休んでくださればいいけれど。
凛子は自分の肩に掛けていたショールを外し、悠一朗の肩に掛けようと身を乗り出した。
「え?」
悠一朗の手元から半分だけ見えてしまった極秘書類。
そこに書かれていたのは、軍の参謀部が総力を挙げて探しているという『西門の護符屋』についての捜索指令だった。
護符鑑定士の鑑定では最高級品、捜査範囲を広げること、見つけ次第、軍で保護すること。
そこより下は、悠一朗の肘で隠れて見えない。
本当に、私は探されていたんだ。
恐ろしさに血の気が引き、凛子の体がガタガタと震え出す。
もし自分がここにいると知られたら、匿っている悠一朗にお咎めがあるのではないだろうか。
逃げないと。
悠一朗様にご迷惑をかける前に、早くここを出て行った方がいい。
恐怖と焦燥に駆られ、凛子が後ずさりしようとした瞬間、手首を掴まれる。
いつの間にか目を覚ましていた悠一朗の漆黒の瞳が、至近距離で凛子を射抜いていた。
「悠一朗様……起こしてしまって、申し訳ありませ……」
悠一朗は掴んだ手首をぐっと引き寄せ、凛子をその場に繋ぎ止める。
「見たのか?」
「……は、はい。申し訳、ありま……」
「俺の目の届かないところへ逃げようなどと考えるな」
抱きしめられそうなほど近い距離に凛子の心臓が跳ね上がる。
「俺が守る」
たとえ相手が軍であろうと守ってみせるという言葉に、嘘偽りはないのだと伝わってきた。
「悠一朗様、コーヒーをお持ちし……」
あれ? 返事がない?
凛子はそっと扉を開ける。
悠一朗が机に倒れ込んでいるように見えた凛子は慌てて中に入り、コーヒーを入り口近くの棚に置いて悠一朗の元へ駆けつけた。
「……寝ている?」
連日のあやかし討伐と過酷な軍務が重なり、限界を迎えて眠ってしまったらしい。
整った横顔には色濃い疲労の影が差している。
本当にお疲れなのね。
少しでも休んでくださればいいけれど。
凛子は自分の肩に掛けていたショールを外し、悠一朗の肩に掛けようと身を乗り出した。
「え?」
悠一朗の手元から半分だけ見えてしまった極秘書類。
そこに書かれていたのは、軍の参謀部が総力を挙げて探しているという『西門の護符屋』についての捜索指令だった。
護符鑑定士の鑑定では最高級品、捜査範囲を広げること、見つけ次第、軍で保護すること。
そこより下は、悠一朗の肘で隠れて見えない。
本当に、私は探されていたんだ。
恐ろしさに血の気が引き、凛子の体がガタガタと震え出す。
もし自分がここにいると知られたら、匿っている悠一朗にお咎めがあるのではないだろうか。
逃げないと。
悠一朗様にご迷惑をかける前に、早くここを出て行った方がいい。
恐怖と焦燥に駆られ、凛子が後ずさりしようとした瞬間、手首を掴まれる。
いつの間にか目を覚ましていた悠一朗の漆黒の瞳が、至近距離で凛子を射抜いていた。
「悠一朗様……起こしてしまって、申し訳ありませ……」
悠一朗は掴んだ手首をぐっと引き寄せ、凛子をその場に繋ぎ止める。
「見たのか?」
「……は、はい。申し訳、ありま……」
「俺の目の届かないところへ逃げようなどと考えるな」
抱きしめられそうなほど近い距離に凛子の心臓が跳ね上がる。
「俺が守る」
たとえ相手が軍であろうと守ってみせるという言葉に、嘘偽りはないのだと伝わってきた。
