イワカンノカンサツ-クスッと系ショートエッセイ集-

我が家にはクモが住んでいる

家の壁を素早く歩き
近づくとぴょんぴょん逃げる

虫には詳しくないので
たぶんになるが

アダンソンハエトリグモだと思う

もともと殺めるつもりはないので
見つけるたびに外に逃していたが

調べたら
他の虫を食べてくれる
益虫なのだそう

私は共存の道を選ぶことにした

人に害を与える恐れの虫を食べる
人に害を与えない優しいクモ

それは弱酸性の優しさに他ならない

私は弱酸性の性質?から
「ジャック三世」と勝手に名付けた

…が

ばったりとクモと出くわす娘

「きゃあああああああ」

「どうした!?」

「むし、むし、パパやっつけて」

ぴょんぴょんぴょんぴょん

「オッケーまかせろ」

…警戒するジャック

「ジャック…早く逃げろ!」

小声で声をかけて
指先でつつくようにして逃す

ぴょんぴょんぴょんぴょん

…逃亡するジャック

「パパ?やっつけた?」

「ああ、もう大丈夫だ」

もう大丈夫だジャック

虫とは言え「共存」を意識すると
なんだか可愛く見えてくる

コミュニケーションは取れないが

時々家で見かけるたび声をかける

「よう、お勤めかい?」

ぴょんぴょん

「きゃあああああああパパー」

リビングから声

「クモーーーー」

ジャックはここにいる

いや、あっちがジャックか?