とある少女の物語

次の日の放課後。

帰ろうとしたら、先生に呼び止められた。

「え、なんですか?」

「なんですかって、帰る気満々なところ悪いが、今日は部活動編成会だぞー」

あーーーー、だるい。

「あっ、そうなんですね! でも、私今日はちょっと用事が……」

「それがなー、編成会は全員出席なんだよー。ごめんなぁ」

と、悪気なさそうに謝る先生。

「あー、そうですか。じゃあ、はい、わかりました」

先生に会場となる教室を聞いてから、私はすぐに向かった。

教室にはすでに人が集まっており、いくつかのまとまりができていた。

私が空いている席に座って、人が集まるのを待っていると、ふと、あることを思い出した。

今日は、水曜日。

すいようび……。

水曜日?!

うわ、今日、配信の日じゃん。

最悪すぎるんですけど。

早く家に帰らせてください!!

と、心の中で叫び続ける。

というか、顧問はまだなんですか。

犬山先生は何してるんですか。

だんだん先生に対してキレ始めていると、

「よーし、じゃあ始めるぞー」

と、先生が入ってきた。

周りを見れば、あれだけ騒がしかった人たちも、全員席についている。

いいぞ。これは早く帰れる。

適当に自己紹介をして、帰ろう。

「じゃー、まずは自己紹介な。俺からするから、そしたら部長、副部長やってもらって、そのあとはー、1年からでいいか? よーし、それじゃあ始めるぞ」

……。

いやいやいや、私、部員のトップバッター?

部長たちのあととか、結構重大じゃない!?

えー、もう緊張してきた。

変に緊張させないでよ。

そんなことを思っている間に、私の番がやってきた。

「1年2組の宮本 澪です。あ、犬山先生のクラスです。運動はあんまり得意なほうじゃないんですけど、精一杯頑張りたいと思います。よろしくお願いします」

我ながら、簡潔で素晴らしい自己紹介だった。

「頑張る」という前向きなメッセージで、部長たちの心をつかんだだろう。

……まぁ、部活に顔を出す予定はないのだけれど。

それにしても、バド部って結構人気あるんだなー。

男女比も……うん、いい感じ。

全員でざっと20人はいるんじゃないかなー。

なんて思っていると、不意に聞いたことのある声がした。

「一ノ瀬 湊、2年。……以上」

その先輩は、ためにためた後、名前と学年だけを言って座ってしまう。

一ノ瀬。

……あ、この間の職員室の人か。

部活に顔出さない予定の私でさえ、3文くらいしゃべってるんだから、もっと話したほうがいいんじゃないか、
なんて思ってしまう。

まぁ、私には関係ないのだけれど。


この時私は、まだ知らなかった。すべての世界がくるってしまうことに。