冷たい唇、その奥に

 唇を離して目を開けると、震えるほどの冷たさが、いつものようにわたしの唇には残った。
 視線を義兄に向けた。
 薄く笑っていた。
 でも、そのような形をした仮面を、ただ張り付けているだけのようにも見えた。
 ひどく、心がざわついた。
 わたしは、貴利(たかとし)から目を逸らして、指先に視線を落とした。